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つくる現場から
酪農家の心を食卓へ 産直生協牛乳120


 「生協牛乳120」は、2009年に大山乳業農業協同組合(以下、大山乳業)とコープしがが協同組合間協同に関する協定を結んで“産直牛乳”として取り扱いが始まりました。大山乳業は、鳥取県内の酪農家を組合員とする酪農専門の農協です。鳥取県内で搾られた生乳はすべて大山乳業の工場に集められて、生協牛乳120などの牛乳類や、ヨーグルト、バター、アイスクリームなどに加工されて組合員さんをはじめとした消費者に届けれています。

 牛乳の一般の消費量は年々低下傾向にあると言われていますが、「生協牛乳120」は、取り扱い当初の年間65万本程度から、昨年度は95万本となり、今年度は100万本を超える勢いで利用が増えています。

 そんな生協牛乳120のおいしさの理由やこだわりを、今年で10年目となるコープしが職員研修で大山乳業を訪問した際に詳しく聞いてきました。

大山乳業って?

大山乳業への職員研修10年の記念植樹

 大山乳業とは夏の「サマーキャンプin鳥取」で訪問したり「知ってねコープぱくぱく試食会」などの交流会の場に積極的に参加いただいていますので、知っている方も多いのではないでしょうか。

 大山乳業の工場は鳥取県中部の琴浦町にあり、牛乳、ヨーグルトやデザート、アイスクリームの工場も併設されています。酪農家は現在137戸で、経産牛(※)が6,000頭、育成中の牛が3,500頭、年間の生乳生産量は55,800トンとなっています(2015年度)。

 大山乳業の特徴は、生乳の生産(酪農家)・処理・販売が一貫していることです。一般的に酪農家で搾られた生乳は、集乳車で集められて、乳業メーカーに運ばれますが、広域で流通するために産地限定したり、酪農家の飼養管理をしたりすることは難しいことです。これに対して大山乳業は、鳥取県の酪農家の生乳が全部集まってくるので産地が明確と同時に、専門農協として獣医師たちからなる酪農指導部門を持っており、乳質向上への取り組みも一貫して行われています。
※=出産した牛。搾乳中の牛と出産を控えて休んでいる牛がいます。

おいしさの元は生乳の品質にあり

 生協牛乳120のパッケージには、乳脂肪分3.6%以上、無脂乳固形分8.5%以上と書かれていますが、大山乳業の年間平均は乳脂肪分3.88%、無脂乳固形分8.82%と高くなっており、これが牛乳のコクになっています。また、生乳の細菌数や体細胞数がとても少なく「きれい」という特徴があります。「体細胞数」は乳房が炎症を起こしていたり牛の体調が悪かったりすると増えるので、健康のバロメーターといわれ、牛乳のおいしさに直結します。

 このように高い乳質を維持するために、牛群検定という牛1頭1頭の乳質や乳量などのデータを管理・分析して改善につなげる取り組みも全国一となっています。

「120」ってなぁに?

清潔で広々とした工場には毎日搾り立ての生乳が運ばれます

 まず「牛乳」というのは、牛から搾られた生乳に何も手を加えずに殺菌だけしたものです。生協牛乳120は、この殺菌を「120℃・2秒間」で行っていますので、殺菌温度を表わしています。この殺菌方法はほとんどの牛乳が採用しているUHT(超高温短時間殺菌)と言われる方式ですが、もともとの乳質が高いため賞味期限がお届け日から12日間と長くなっています。

健康な牛を育てるために

中村牧場で説明を聞く職員

 鳥取県東部の八頭町にある中村牧場では、搾乳牛92頭、育成牛43頭をご両親も含め5名で飼育。牛舎はフリーストール・フリーバーンという牛が自由に動き回れ、牛へのストレスが少なくなる方式です。

 エサは濃厚飼料(穀物中心)と粗飼料(牧草)を牛の状態に合わせて配合して与えています。大山乳業では、粗飼料の自給率が高いことも特徴で「健牛・健草・健土」という言葉通り、健康な牛を育てるには健康な草、健康な土づくりが大切です。牛の排泄物を堆肥として土づくりを行う循環型農業をすすめています。

 牛も人間と同じように子どもを産まないとお乳は出ません。生まれてからお乳が出るようになるまで約2年半(この間は収入がありません)、その後毎年出産させて継続的に搾乳できるように、また健康に育つように心がけています。大山乳業の乳質の基準は厳しいですが、消費者のみなさんにおいしい牛乳を飲んでいただけるように努力しています。

生協牛乳 Q&A

気温や天候は影響しますか?

乳牛はホルスタインという種類で寒さには強いですが暑さには弱く、夏場の体調管理には特に気を使います。乳質も夏場は脂肪分や無脂乳固形分は低く、冬場に高くなる傾向があります。

搾ってから何日で届きますか?

【酪農家】前日夕方と当日朝搾乳分を集乳 ⇒ 【大山乳業】殺菌・パック詰め ⇒ 【コープしが】個人別に仕分け ⇒ 【組合員】宅配でお届け ⇒ 搾乳後、3~4日目に組合員さんの手元に届きます。

「低脂肪牛乳」って?

低脂肪牛乳。こちらも人気です

生協牛乳120と同じく鳥取県産の生乳を100%使用して、乳脂肪分を60%取り除き1.5%に調整しています。取り除いた脂肪分はバターや生クリームに使われるので、その分少しお安くなっています。低脂肪牛乳。こちらも人気です。

生協牛乳120ができるまで

①受け入れ検査

鳥取県内の酪農家から集乳車で工場に運ばれ、事前検査で確認してから受け入れます。

②清浄化と貯乳

集乳車と貯乳タンク

受け入れた生乳は、清浄器で微細な異物まで取り除き、いったん屋外のタンクに入ります。

③殺菌と均質化

プレート殺菌機

脂肪球を細かくする均質化をして、120℃・2秒間殺菌し急速に冷やします。

④パック詰め

充填機でパックに詰められ、冷蔵庫で出荷を待ちます。

⑤トラックでコープしがへ

組合員さんへのメッセージ

幅田信一郎 代表理事組合長

 コープしがからは毎年組合員さんの産地見学(サマーキャンプ)、職員の方の研修に来ていただいていて、産地直結のつながりが強まっていることを実感しています。

 牛乳は本来母牛が子牛を育てるために出したお乳を、人間がいただいています。命をいただいているということを忘れずに、生協牛乳120をはじめとした安全安心でおいしい商品をお届けしていきますので、商品を利用して生産者をこれからも応援してください。

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