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つくる現場から
うま味を閉じ込めた 氷温甘塩さば切身

利用点数は水産部門1位

氷温熟成でうま味を閉じ込めた冷凍さば。そのまま焼いても、煮付けにも使える手軽さが人気です。

 「氷温甘塩さば切身」は、コープしがで取り扱う食品の中でもトップレベルの人気商品。2014、2015年度のコープしが宅配の年間ご利用点数は水産部門で1位となりました。7月におこなった宅配の「人気商品総選挙」の人気投票でも、堂々第1位を獲得しました。インターネットの【口コミ広場・コープしが版】でも「塩加減が絶妙で家族みんなが大好きです」「冷凍なのに、焼き上がりがふっくらジューシー」「冷凍庫にストックがないと落ち着きません」「リーズナブルでよく利用しています」と絶賛の声をいただいています。

 「氷温甘塩さば切身」を手がけているのは、鳥取県米子市、日本海に面した境港の近くにある水産加工会社・株式会社ダイマツです。国際線の機内食にも採用されている商品などさまざまな魚介加工品を作っていますが、「氷温甘塩さば切身」は1978年に開発されたロングラン商品だそうです。今回は加工工場にうかがい、おいしさの秘密とこだわりをお聞きしました。

もっとも脂の乗った秋のノルウェー産さば

 「氷温甘塩さば切身」のおいしさの理由は、大きく分けて3つ。まず1つめは、原料であるノルウェー産さばの高い品質です。ノルウェー産のさばは、国産のものに比べ脂の乗りがほぼ倍で、クセが少ないのが特徴です。ノルウェーのさばは北大西洋を回遊しており、産卵準備前の9月初旬~10月ごろにもっともおいしくなるため、(株)ダイマツではこの時期にしぼって買い付けを行っています。

「この時期は、水揚げされたさばの品質について現地の商社から毎日メールが届きます。さばの写真も送ってもらい、価格などを確認してから買い付けをしています」と、副工場長の羽山謹次さん。

 さばは身を傷めないよう、まき網のみで漁獲され、その日のうちに海岸沿いの冷凍倉庫に保存されます。その後、冷凍状態のまま船で(株)ダイマツに届くので鮮度を失うことはありません。

 下の写真①は、ノルウェーでの漁の様子。さばはノルウェー政府などによる環境保護、資源保護政策により、きれいな海で育っています。EUの取り決めで毎年の漁獲量が周辺国ごとに厳しく決められているため、乱獲の恐れはないそうです。

①さばは、ノルウェー政府などによる環境保護、資源保護政策により、きれいな海で育っています。EUの取り決めで毎年の漁獲量が周辺国ごとに厳しく決められているため、乱獲の恐れはないそうです

②冷凍されたさばは専用の氷温解凍庫でゆっくりと解凍し、うま味成分が流れ出るのを防ぎます

③3枚おろしは機械で。手早く内臓を除去し、切り身にカットします。夏も冬も塩水の温度は、ほぼ氷温温度と同じ。どちらも、鮮度を失わないための工夫です

④加工に使用するのは天然天日甘塩のみ。塩水に漬けた状態のまま、氷温熟成庫でゆっくりと熟成をすすめた後、マイナス35℃のトンネルフリーザーで急速凍結!

「氷温甘塩さば切身」の塩分は約1~1.5パーセント。天然天日塩を使っているので、塩のとがった感じは感じられません

⑤パックに詰めたら、金属探知機と目視で検品

⑥いざ、出荷

ゆっくり熟成させうま味を引き出す

 2つめの理由は、商品名にも付けられている「氷温づくり」。氷温とは、0℃から食品が凍る温度までの間のマイナス温度帯のことです。魚の干物や日本酒、みそ、漬物など、昔から伝統的に作られてきた「寒造り」「寒仕込み」「寒干し」と同じような製法です。

「氷温づくり」は、地元である鳥取県米子市で生まれた技術だそうです。1970年、鳥取県では特産品である20世紀梨の貯蔵実験を行っていました。ところが貯蔵冷蔵庫が壊れてしまい、庫内の温度がマイナス4度にまでなってしまいました。しかし梨は凍っておらず、食べてみると甘みが格段に上がっていたといいます。思わぬ失敗から生まれたこの技術が、さばの加工に役立っているのですね。

 さばを氷温温度帯で保存すると、鮮度を保持しながらも熟成効果があらわれるそうです。氷温温度帯では細胞が凍るまいと自己防衛をして不凍液をたくわえようとするのですが、この不凍液の中にはアミノ酸や糖類などのうま味成分が含まれています。

 3つめのこだわりは、さばの味付けが天然天日塩のみということです。添加物などはいっさい使っていません。天日塩は海水を自然に干し上げて作られた、100%天然の塩。海水中に含まれる優れたミネラルが豊富なことが特徴です。かどがないまろやかな塩なので〝甘塩〟と呼ばれています。

 この塩を入れた塩水で漬けたさばをひと晩かけてゆっくり、じっくりと「氷温づくり」で寝かせることで、素材の内側にあるおいしさを引き出すことができるというわけです。

 (株)ダイマツには、魚介加工の研究を行う「ダイマツ中央研究所」が併設されています。魚を従来よりもおいしく食べることができないか、日々実験を行っているそうです。いつか私たちの食卓に、驚くような新商品が届く日が来るかもしれませんね。

 (株)ダイマツの本社工場では、常時約100名のスタッフが働いています。さばの「3枚おろし」と切身加工」は機械で行いますが、ほかの工程はすべて手作業。切身を塩水に浸す、さばを大きな網に並べて凍結させる、冷凍のさばを規格にあわせて袋に入れるなどの一連の作業が、丁寧に素早く行われています。

 また本社工場は、食品の衛生管理方式のガイドライン、HACCP認定を取得しています。HACCPでは、食品の製造や加工工程において、病原微生物や洗浄剤、金属片などの危害要因をあらかじめ予測・分析し、対策をたてるという衛生管理基準が設けられています。

 工場に入る前は、タイマーをかけ30秒間手指を洗浄し、2枚の帽子を重ねてかぶり、エプロンとマスクを付けて作業を行います。商品管理においては原材料の入荷から製品の出荷までの各段階で目視と機械により厳しいチェックも。「おいしさだけでなく、衛生や安全も徹底的に追求しています。安心してお召し上がりください」と、副工場長の羽山さんは語ってくださいました。

おいしい召し上がり方

そのまま塩焼きに

●魚焼きグリルなら…

両面グリルなら中火で5分、片面グリルなら背側、腹側をそれぞれ5分焼きます。

●フライパンなら…

小さじ1の油をひき、中火で40~60秒温めます。解凍したさばの身を下にし、中火のままで約6分焼きます。好みの焼き加減になったら、さばを返し、皮を下にして約5分焼きます。

※フライパンにクッキングシートを敷くと油を使わずに焼けます。テフロンのフライパンなら油は不要です。

そのほか、おすすめの食べ方

さばのカレーみそ煮/さばとキャベツのソテー バターしょうゆかけ/さばとキャベツの和風マスタード和えなど、和洋問わずいろんな食べ方で楽しんでください!

組合員さんへのメッセージ

「氷温甘塩さば切身」は約40年もの間、小さなお子さまからシニアの方まで幅広い世代に愛され続けてきました。薄味に仕上げていますのでご家庭でアレンジしやすいのですが、まずはそのまま塩焼きでお召し上がりいただきたいですね。朝食、お弁当、夕食と、日々の食卓できっと活躍すると思いますよ。

(営業2部 部長・西田良輔さん)

昨年、ノルウェーの港でさばの水揚げから冷凍までの過程を視察し、さばの身質の良さを確認してまいりました。さばの品質はもちろん、手間ひまを惜しまず仕上げる「氷温づくり」、さばの鮮度を保つための工場環境など、こだわりは多岐にわたっています。ぜひ当社の自信作をご賞味くださいね。

(生産統括本部 副工場長・羽山謹次さん)

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