お鍋の具やサラダ野菜として親しまれている水菜。冬場を代表する葉物野菜ですが、品種改良や生産者さんの努力で、今では年中手に入るようになりました。
コープしがに出荷いただいているのは、「滋賀有機ネットワーク」の生産者グループのひとつ、「栗東有機栽培グループ」です。
今回は野洲の産地を訪ね、水菜栽培に携わる方々に、栽培方法やこだわりなどをお聞きしました。
野洲川流域に連なるビニールハウス。ここは、「栗東有機栽培グループ」のひとり、佐藤正典さんの畑です。年明けすぐの取材時は、10月末に種ま きしたという水菜がみずみずしい葉をつけていました。葉の色が濃すぎることなく、明るい緑色をしているのは、良質の水菜の証だそう。ここで収穫される「産直水菜」は、シャキシャキとしているのが特徴で、生でも加熱してもおいしくいただけます。
栗東有機栽培グループの佐藤正典さん
ハウス栽培であっても、気温によって生育状況が大きく変わってくる水菜。夏場は25~30日、冬場は80日程と、生育日数は全く違います。「おいしい水菜を届けるためには、収穫のタイミングがとても大事」と佐藤さん。暑い時期は毎週、寒い時期は2週間に1回のペースで種をまき、年間を通じて収穫できるようにしているそうです。
また、株間(種をまく間隔)も、季節によって微妙に変えているという佐藤さん。「冬が旬の水菜は湿気が苦手。夏場は株間をあけて通気性を高め、株元が腐らないように気をつけていますね」収穫後は、検品などもすべて県内で行われるため、翌々日には組合員さんの手元へ。こうして一年中、食べ頃の新鮮な水菜が届けられています。
春夏秋冬いつでも水菜栽培ができるように、「栗東有機栽培グループ」では、土に負担をかけないさまざまな取り組みをしています。
まず、こだわっているのが堆肥を導入した土作り。有機物を混ぜ込むことで土がやわらかくなり、水菜の生育環境が良くなるため、手間がかかっても毎作まくこともあるそうです。
もうひとつの重要な取り組みは、有機肥料です。「専門店へ依頼して有機肥料を作ってもらっているんですよ」と教えてくれたのは、リーダーの藤田真吾さんです。「毎年土壌検査をしてチッソやリン酸などの成分を調べ、それをもとに翌年の配合比率を再検討して発注しています」。「栗東有機栽培グループ」のメンバーは皆、畑の状態に合ったこの有機肥料を取り入れているのだそうです。
やわらかな土に生えた水菜。ハウスには防虫ネットを張り、害虫を寄せ付けない
みずみずしく育ち、収穫を待つ水菜
「栗東有機栽培グループ」が属している「滋賀有機ネットワーク」は、1994年に生産者が立ち上げた会社です。食の安全や環境保全型農業をテーマに、企画や生産計画などを統括することで安定供給を目指した組織で、滋賀県内の安土、大中、栗東の3つのグループから成り立っています。
なかでも、後継者育成や新規就農者の受け入れに積極的で、現在20名のうち若手が半数を占めるのが、ここ「栗東有機栽培グループ」です。名称が表すように、グループ最大のテーマは、有機肥料での野菜作り。水菜に限らず、化学肥料を使わないという点ではどの品目も同じです。ほかにも、除草剤に頼らず、太陽熱を利用した滅菌方法を取り入れたり、ハウス内に細かい防虫ネットを張り巡らせて、農薬散布の回数を極力減らすなど、安全で安心できる野菜栽培に尽力しています。
ベテランの方も新しく就農した方も、和気あいあいと言葉を交わし、家族のようなあたたかなつながりが伝わってくる「栗東有機栽培グループ」。今回の皆さんのお話からは、「がんばって有機野菜をやっていこう」という、団結した志を感じました。収穫体験や畑の見学会など、消費者との交流を大事にされているのも特徴です。コープしがの企画にもいろいろとご協力いただいていますので、組合員のみなさま、ぜひご参加ください!
ビニール袋に入れたまま、水分が飛ばないように口をテープなどで留めて密封。根元を下に立てた状態で保存します。
水をはったボウルに、株ごとしばらく浸けておきます。数時間で葉先までピンとなり、瑞々しい状態に復活します。
…せっかくの新鮮な「産直水菜」。届いたらすぐに食卓へ!が、おいしくいただく一番のポイントです。