2015年10月より取り扱いが始まった、タイ産の農薬無散布「ホムトンバナナ」。広東バナナの取り扱いが終了して、「また農薬を使わないバナナが欲しい」という組合員さんの声に応え、登録バナナとして新しく始まりました。
「ホムトンバナナってどんなバナナ?」取り扱いに向けて、職員が現地視察に行ってきました。
現地バナナ農園
バナナの木は、数メートルの高さまで成長しますが、実は“木”ではなく多年生の“草”。太い一本の幹に見える部分は、たまねぎのように皮が幾重にも巻かれています。種は退化してなくなっているので、株分けをして増やします。バナナにはブドウ糖・果糖・ショ糖が含まれていてそれぞれが体内に吸収される時間が異なり、食べてすぐエネルギーになるものから長持ちするものまであるので、スポーツによく利用されます。
現在、日本で販売されるバナナはフィリピン産が約8割を占め、エクアドル・メキシコ・台湾・中国などからも輸入されており、タイ産はごく一部です。
一般的にバナナは、広大なプランテーション農園(大規模農園)で大企業に雇われた労働者が栽培していて、農薬の大量使用などが問題となってきました。タイでは多国籍企業によるプランテーションはなく、農家の方が比較的小さな自分の畑で栽培しています。
たわわに実をつけたバナナ。農薬無散布で育てられるので安全安心
ホムトンバナナを取り扱うのは、日本の(株)パシフィック・トレード・ジャパン(PTJ)と、タイのホムトンバナナ生産管理・輸出元会社(PPFC)。2社で連携して、顔の見える安全安心なバナナをお届けしています。
ホムトンバナナの取り扱いは約20年前にさかのぼります。「安全安心なバナナが食べたい」という他府県の生協組合員と、「健康と自然が守れて、さらに安定した収入が得られる仕事がしたい」というタイの生産者によって、そのお付き合いは始まりました。そして毎年生産者と組合員が相互に訪問するなど、産地交流を続け、信頼関係を築いてきた生協のバナナの取り組みに、コープしがも仲間入りさせてもらうことになりました。
ホムトンバナナは「グロスミッチェル種」という品種で、熟すと一般的に出るシュガースポットという斑点が出ません。バナナの先まで黄色くなった時が食べごろです。
タイ語でホムは良い香り、トンは黄金の意味があるので「ホムトンバナナ」は“黄金色の香りのよいバナナ”という意味です。ほかの品種に比べると、少し小さめのサイズで皮は薄め。熟した時の香りの強さとさっぱりとした甘みが特徴です。
ホムトンバナナを栽培しようとする農家は、各地域の農民会や農協などと無農薬栽培の誓約書を結びます。バナナは無農薬でも栽培しやすいそうですが、ほかの野菜や米などの農薬の影響を受けないように、栽培場所を分ける必要があります。
親バナナの木の脇芽を苗にし、穴を掘って堆肥などを入れ、植え付けます。肥料はバナナの残渣、ヤシのしぼりかすをBM活性水で発酵させた堆肥などを使用します。
植え付け後
植え付け後、4~5ヶ月で花芽と実ができ、7~8ヶ月で実が大きく成長を始めます。約10カ月でバナナが収穫できます。
収穫できるまでに、病気が発生しないよう枯葉をこまめに切り取ったり、除草剤を使わないので手や機械での草刈りが欠かせません。また、水がとても重要で水管理にも注意が必要です。
水で洗浄してから出荷
収穫したバナナは作業場に持ち込み、生産者ごとの「生産者シール」を貼り、誰が作ったバナナか消費者にもわかるように管理されます。作業場では水でゴミなどを洗い流し、乾燥して箱詰め、冷蔵トラックで出荷され、日本に向け出荷されます。これら、一連の作業は栽培記録表に記録し、PPFCが圃場などを回り点検・確認を行っています。
生産者シールの番号で生産者がわかります
ホムトンバナナに貼られている「生産者シール」の番号を、ホムトンバナナのホームページで照会すると顔写真入りで誰が生産したのかを確認することができます。遠くにありますが身近な産地・生産者として感じることができます。
ホムトンバナナのホームページ ⇒ https://www.homton.com/
視察に訪れたコープしが職員と生産者の方々
ホムトンバナナは生産者、組合員の双方を大切にした、本当に生協らしい産直商品です。現地を訪問して自信を持ってお勧めできます。
(草津センター長・島田)
PTJ社の会長は某生協の元理事長です。「生産者の顔が見えるバナナ」を目指すとともに、生産者の暮らしと地域社会の向上もめざしておられ、とても熱い想いを感じました。
(南草津センター長・川端)