アブラナ科の緑黄色野菜・ブロッコリーは、カロテンやビタミンC・Eや鉄分、植物繊維など栄養満点で、美容と健康におすすめの野菜。一年中食べられますが、旬は11月~3月。秋冬のブロッコリーはよく締まり、芯の甘みまで楽しめます。
滋賀県産ブロッコリーの主な産地であり、産直産地でもある滋賀有機ネットワークを取材しました。
滋賀有機ネットワークは、食の安全、健康のための農業、環境保全型農業をめざす生産者が1994年に設立しました。「顔が見える、声が伝わる、産直をめざして」をスローガンに、産直流通の拡大と安全な農作物の安定供給を目指しています。
県内外の産直農産物の出荷は、コープしがとの共同出資で設立した青果産直センターが基軸です。「地元で採れた安心安全な野菜を食べたい」という組合員の思いと、「地域で作ったものを地域の方に食べてもらいたい」という生産者の願いが結びつき、まさに地産地消を実現した理想の形が築かれています。
現在、「栗東有機栽培グループ」「大中の湖産直連合」「安土産直部会」の3つの生産者グループが協力し、栽培技術の向上や産直流通の拡大、安全な農産物の安定供給に取り組んでいます。
ひと株にブロッコリーはひとつ。「葉は食べられないのですか?」の質問に、その場で葉をちぎって食べてくださいました! 安全安心の生産ならではですね。※葉は繊維が多く、食用には向かないそうです
滋賀有機ネットワークには現在、70戸の生産農家が登録しています。そのうち、ブロッコリーを生産しているのは、JAグリーン近江「大中の湖産直連合」の中の大中の湖ブロッコリー生産部会12名。大中地区は琵琶湖の内湖を干拓した農業地帯です。近江牛の堆肥を利用した肥沃な土壌が特徴で、ブロッコリーの苗づくりから収穫まで、一貫して進められています。また、週1回の出荷調整会議でそれぞれの栽培状況の報告や情報交換を行うほか、栽培講習会や他産地の視察も実施し、栽培技術の向上と安定生産に取り組んでいます。
天候の影響を受けやすく、ほかの野菜と比べて管理が難しいと言われるブロッコリー。昨年、今年と相次ぐ大型台風や長雨に見まわれましたが、高うねにし、排水性と通気性を確保したことで、大きなダメージは避けられたそうです。
収穫翌日には検品・出荷され、その次の日には組合員の手元に届きます。滋賀県産のブロッコリーが「茎まで柔らかい」「捨てるところが少ない」と評判なのは、新鮮なのはもちろん、生産者の愛情をたっぷりと受けてイキイキと育っているからですね。
収穫したばかりの茎からは水分がしたたるほどのみずみずしさ!
芽が根付くまでに大変な手間がかかり、天候や育成状況を確認しながら水やりを行います。草取りも手作業で行います。
同じ日に植えても育つスピードが異なるため、機械の導入はできません。そのため、手作業で一株ずつ収穫していきます。
モコモコした部分は花蕾(からい)と呼ばれるつぼみの集合体。一部が赤紫色がかっていることがありますが、これは厳しい寒さにさらされると出てくるアントシアニンという色素。ゆでれば緑色に戻り品質や味に変わりはありません。
ゆでて小房に分けておくと便利です。花蕾の部分は小さなゴミや虫が入りやすいので、水を張ったボールにしばらくつけるなどして、汚れを落としましょう。
時間がたつと、花が咲く場合があります。これは苦みのもとになるので、咲く前に小分けにしてゆでて、冷凍保存しておきましょう。