一年中おいしく食べられるバナナですが、これからの季節はバナナを使った冷たいデザートが特においしく楽しめる季節。
今回は、農薬不使用にこだわり続けながら、おいしさを追究した生協のオリジナル商品「広東バナナ」をご紹介します。お話をお伺いするのは、広東バナナ協議会事務局長の井上泰介さんです。
園地内ではアヒルや地鶏が放し飼いになっています。竹は、台風対策の添え木。
約20年前の1993年当時、輸入農産物は農薬や殺菌剤が多用される危険なものというイメージが強くあり、バナナも「端は食べない方が良い」と言う人もいました。そんな中、「無農薬のバナナが欲しい」という声が高まり、中国の労働組合本部の協力を得てコープしがが産地調査を開始。台湾とほぼ同緯度に位置する広東省の珠江デルタ地帯に産地を見つけました。当初は数十軒の契約農家からの買い取りでスタートしましたが、99年からは更に安全性を高めるために生協専用農園での肥培管理を行っています。生協専用農園では、コープしがを始めとする全国7つの生協組合員のために、殺虫剤も殺菌剤も一切使わないバナナ作りを行っており、年間を通して安定した生産体制を維持しています。
2013年9月24日の台風19号による被害。根が浅いバナナは台風にも弱いのです
バナナの原産地はインドネシア(熱帯)です。年間通して灼熱の太陽があり、30℃近い気温の中でバナナはすくすくと育ちます。
しかし、台湾や広東は亜熱帯に位置し、四季があります。冬は10℃以下になることもあり、そうするとバナナは休眠状態になります。寒波が来ると、木くずを燻して園地の空気を対流させるなどして霜対策をしますが、過去には大寒波でバナナが全滅・供給休止になったこともあります。
亜熱帯の冬に育ったバナナは開花から結実・収穫までに長期間を要すため大変美味しくなるのです。
2013年9月17日、生協産地視察団。台風19号被災の1週間前の様子です
バナナは、植付けから約1年で高さ2~3mに成長し実をつけます。収穫を終えた幹の根元からは脇芽が出て、成長を繰り返します。その成長スピードの速さゆえに、土壌からは数年でバナナに必要な養分が無くなってしまい、化学肥料と農薬を多用せねばならなくなってしまいます。
広東バナナは健康な状態を保つために、3年おきに新しい土地に引っ越して園地を設け、連作障害を回避しています。土地は全て国有地、借地権で営農する中国ならではの仕組みです。
広東バナナは健康な状態を保つために、3年おきに新しい土地に引っ越して園地を設け、連作障害を回避しています。土地は全て国有地、借地権で営農する中国ならではの仕組みです。
早朝4時からの出荷作業。バナナを水道水で洗浄します。ポストハーベスト農薬は使用しません。
神戸港での植物検疫。広東バナナはほぼ100%合格、無薫蒸(燻蒸:検疫で虫が発見された場合に行われる殺虫・殺菌処理)です!
生協専用農園で収穫したバナナは、丁寧に水道水で洗浄され、計量・箱詰めをして冷蔵コンテナに積み込まれます。香港を経由して約1週間で神戸港に到着した青く硬いバナナは、ムロの中でさらに1週間追熟してお届けとなります。産地では、出荷毎に残留農薬検査を行い、日本到着後のモニタリング検査も随時行っています。
バナナはバショウ科の植物で、樹木ではなく多年草の草。柔らかい蜂の巣状の葉が重なって幹を形成しています。(写真は断面図)
① 植え付けから約8カ月、50枚の葉の後で花芽が垂れ下がり赤紫色に。苞(つぼみを包んでいる葉)が1枚ずつめくれると、先端に白い花を付けた実があらわれます。
② 実は、太陽の方へ段々と上を向いてそり返って大きくなり…
③ 立派なバナナに成長!