今回は、生協が取り扱う牛肉を生産する株式会社マルハニチロ畜産や、生産者の一人である株式会社大野ファームを、組合員理事3名と職員5名で視察したレポートをお届けします。
組合員理事と職員が訪れたのは、北海道、十勝平野のど真ん中、帯広市の西隣に位置する「芽室(めむろ)」という町です。市街地を抜けると、雄大な農村風景が広がります。ここにあるのが、㈱大野ファームです。広大な畑で、道路のすぐ脇では、ジャガイモやとうもろこし、小麦、飼料となる大豆・ビート・デットコーンなども栽培されていました。
(株)大野ファームと(株)マルハニチロ畜産で生産されているのは、商品案内書エコーで取り扱っている「国産牛切落し(モモカタバラ)」や、「北海道産若牛切落し(バラ凍結)」「国産牛バラ切落し(バラ凍結)」「北海道産牛すき焼用(肩ロース)」「国産牛豚合挽ミンチ(バラ凍結)」、また、商品案内書「ぱくぱくエコー(現在はコープしがマルシェ)」で取り扱っている「国産牛こまぎれ」「国産牛モモすき焼用」の原料肉。牧場から組合員のもとへ届くまで、どんなこだわりで育てられ、またどんな工程を経て加工されているのか、見せていただきました。
①健康な作物は健康な土から。土づくりに徹底的にこだわります。
②エサになる牧草・麦わらは地場産にこだわり、農場内で採れたものと地場産を使用。1頭1頭に愛情を込めて育てています。
③安心できる農畜産物を作り食していただくことで、未来の子どもや組合員の健康のために貢献したい。
これが、(株)大野ファームのこだわり「3本柱」だそうです。
(株)大野ファームでは、乳用種ホルスタイン肥育牛の子牛(生後2週間前後)から肥育(18ヵ月齢程度)までの生産を行っています。抗生物質無添加のミルクで育ち、飼料はNON-GMO(非遺伝子組み換え)で、収穫後農薬(ポストハーベスト)のない、とうもろこしなどを食べて育っています。月齢や健康状態に応じて、飼料の配合を変えています。
「牛の健康状態は、毎日の牛とのコミュニケーションが取れていなければわかりませんよ。また、エサに乳酸菌を入れることで、牛の内臓の働きが良くなり、糞の臭いが抑えられます。」と大野社長。
牛が快適に過ごせるようにと、エサを食べる所と、水を飲む所が別々に設置されていました。天井も高く、換気扇も設置するなどの工夫もされていました。牛舎に敷かれている床も、わらやおがくずなどを入れ、快適に過ごせるように、定期的に交換。使用済みのものは、畑への堆肥として再生されています。
堆肥は、(株)大野ファームの畑に入れるほか、同じ地域の農家の麦わらと交換することもあります。お互いに足りないものを交換し合い、循環させることで、健康な農畜作物の輪が広がります。こうすることで、「農のリサイクル」が生まれてくるのです。
北海道畜産公社で「と畜」され、品質のチェックとグレードを確認した印が刻印された枝肉が納品されます。(今回お伺いした、(株)マルハニチロ畜産十勝加工場では、肥育牛を中心に1日23頭、芽室町にある(株)マルハニチロ畜産のグループ企業であるニチロ畜産(株)十勝工場では、経産牛を中心に1日40~60頭が処理されています。)
最初の作業は、天井から吊り下げられた枝肉を電気のこぎりとナイフで、骨から肉をはずす作業です。強い力を使って骨から肉を剥がす作業があったかと思えば、ナイフを使って繊細に筋肉から肉を切り取る作業があり、熟練された技術と経験から生み出された勘が必要な作業だと感じました。ここで、各部位ごとのブロックにします。
写真はマルハニチロ畜産十勝加工工場。現地で加工を行い、新鮮な牛肉をお届けします。
(株)マルハニチロ畜産で部位ごとのブロックの品質を保持したまま、牛肉は甲賀市甲南町にある株式会社シガフードプロダクツに届き、ここでスライス加工されます。それぞれのご家庭で調理しやすい量目やいろいろな食のシーンをイメージした商品づくりを行っています。
①酪農家…2週間前後まで(体重50kg程度)
②素牛農家…およそ6カ月齢程度まで(体重300kg程度)
③肥育農家…18カ月齢程度まで約1年間飼養(体重800kg程度)
④と畜