
たなかみの紅はるか(さつまいも)
500g(2~5本)
田上山地の花崗岩の土壌と、大戸川の豊富な水に恵まれた大津市田上地区で栽培。なめらかな舌ざわりで、ねっとりした強い甘みが特徴です。
お話を伺った鈴鹿さん(前列中央)、西川さん(前列右)と長谷工あんしんデリのみなさん周囲を山に包まれて、一級河川の大戸川が悠々と町を流れる大津市田上地区。ここで紅はるかの栽培に取り組んでいるのが、長谷工あんしんデリのみなさんです。
「ご存知のとおり長谷工は、マンションの建設をメインとする会社です。またグループ会社ではマンション管理事業も行っています。そこで、入居者向けに『おいしいお米をお届けしたら喜ばれるのでは?』と考え、生活者の身近にある農業を事業の一つに加えました」と、長谷工コーポレーション 営業企画部門の西川典男さん。
田上地区で代々米農家を営む鈴鹿政秀さんの「田上から日本の農業を改革したい」という熱意を汲んで、2015年1月、お米を中心に田上地区で農作物を生産する長谷工あんしんデリをグループ会社として設立しました。
「現在日本の農業は、高齢化と担い手不足に直面しています。もちろん、田上も例外ではありません。そこで、有り余る耕作放棄地をお借りして圃場をどんどん拡大し、ほかにはない特徴をもつ農作物を作ろうとしています」と鈴鹿さん。
実をいうと田上地区は、天智天皇の命で開墾され、1300年の歴史を持つ米どころ。三方を山に囲まれた盆地ならではの寒暖差、大戸川の清らかな水、そして花崗岩の砂地の土壌が農地にはぴったりでした。この恵まれた環境を生かし、2021年に始まったのがさつまいもの栽培です。

室温10~15度、湿度80~95%を維持した保存倉庫で1カ月以上熟成し、ぎりぎりまで糖度を高めてから出荷

さつまいもの圃場は今年、3ヘクタールから10ヘクタールに拡大
「近年では『第4次焼きいもブームの到来』といわれるくらい、さつまいもの需要が増しています。特に紅はるかは甘くねっとりとした食感で、スイーツ感覚で楽しめる人気の品種です」と西川さん。
しかも田上育ちの紅はるかは、「繊維質が少なく口あたりがなめらか」「地元産だから安心」などとコープしがの組合員から好評を博しています。
「繊維質が少ない理由はまだはっきりとはわかりません。ただ、私たちは現状に留まらず、さらに水はけがよく水持ちのよい“生きた土”を作ろうと、今年から新たなチャレンジを行っています」と鈴鹿さん。
それが、発酵竹パウダーと食品リサイクルたい肥の活用です。竹はひと晩に1m伸びるというほど生命力が強く、土壌の微生物を活性化する力があります。それを地中で分解しやすいように細かいパウダー状にして、自社で発酵させているのです。
「竹パウダーを発酵させると乳酸菌などの微生物が爆発的に増え、とても良い土壌改良剤になります。さらには、ごみ処理場から排出される食品廃棄物をたい肥として活用し、“団粒構造”と呼ばれる植物の栽培に適した土にしています」。
こうすることで、化学肥料や農薬の使用を限りなくゼロに近づけつつ、放置竹林問題や食品ロスの削減に貢献できるというのです。この取り組みはまだ始まったばかりですので、今年作付けされたすべての紅はるかに該当するものではありません。しかし、同社では5年以内に社会課題解決型農業を確立し、全国にノウハウを広げていきたいと考えています。

発酵竹パウダーと食品リサイクルたい肥を活用した長谷工あんしんデリのさつまいもづくりは、社会課題対策として注目を集めています。全国に増えた放置竹林がイノシシやクマなど害獣たちの隠れ家になっていることから、整備し切り出した竹をパウダー状に。食品リサイクルたい肥の活用は、食品廃棄物の処理費用や焼却時の二酸化炭素の削減に一役買っています。これらの農業資材は日本国内で安定的に入手でき、持続可能な農業の基盤になるものとして期待されています。
プロジェクトに参加した龍谷大学農学部のみなさんコープしがは、大津市と包括連携協定を結んでいます。大津市は「地元のおすすめの農産物を多くの世代に広めたい」という想いから、龍谷大学農学部と協力して大津市の農産物を使ったレシピ開発に取り組まれました。そこでテーマの農産物として選ばれたのが、長谷工あんしんデリのたなかみの紅はるか。学生たちが5つのグループに分かれ、レシピを考案しました。
選考会で最優秀に選ばれたグループのレシピ「クロキッシュ」は裏表紙のスパイラルレシピに掲載しています。ぜひ試してみてください!