年末が近づくにつれ、ふつふつと湧き上がる「わが家をすっきりキレイにしたい!」というキモチ…。特に子どもの作品やせっせと集めた推し活グッズ、趣味のハンドメイドなど、片付けるのが難しいモノほど後回しになりがちです。
そこで今月は、整理整頓のプロフェッショナルに思い入れのあるモノの片付け術を伝授してもらいました。今年こそハードルの高い片付けを乗り切って、気持ちよく快適な新年を迎えましょう。
年末が近づくにつれ、ふつふつと湧き上がる「わが家をすっきりキレイにしたい!」というキモチ…。特に子どもの作品やせっせと集めた推し活グッズ、趣味のハンドメイドなど、片付けるのが難しいモノほど後回しになりがちです。
そこで今月は、整理整頓のプロフェッショナルに思い入れのあるモノの片付け術を伝授してもらいました。今年こそハードルの高い片付けを乗り切って、気持ちよく快適な新年を迎えましょう。
おうち丸ごと片付け専門家
坂根 陽子さん
滋賀県を拠点に活動する整理収納アドバイザー、整理収納アドバイザー2級認定講師。「Link+しが」のメンバーとして、小学5年生の家庭科で整理整頓の出前授業を実施。三姉妹の子育て経験を活かし、講座や訪問サポートを通して、家族が心地よく暮らせる仕組みづくりを提案しています。
もっと肩の力を抜いてみよう
「みなさんは“片付け”と聞くと、どうしても捨てることばかりに目が行きがちです。特に思い入れの強いモノだと感情が入ります。いわば自分にとっては非常に価値の高いモノ。だからこそ、片付けるのが辛くなったり、苦しくなったりするんです。でも私、捨てることって本当に最終手段だと思うんですよ」と坂根さん。
ご自身も三姉妹のママとして長年育児に奮闘し、もともとキレイ好きなのに「子どもがいると片付かない!」とストレスを抱えていたそう。そこで整理収納アドバイザーの資格を取ろうと勉強を始めると、目からウロコのことばかりだったといいます。
「『これが本当の整理・収納・片付けか!』と衝撃を受けました。それまでは自己流で家中のモノをいかにうまく収納するかだけを考えていたんです。100均などで購入した収納グッズをパズルのように組み合わせて(笑)。でも、そこには“整理”の概念が抜け落ちていたんです」。
私たちからすれば、「整理も収納も片付けも同じじゃないの?」と考えがちですが、片付けのプロが定義する“整理”とは、一体どのようなものなのでしょうか。
すべての片付けは“整理”から
「整理とは、“不要なモノを取り除く”ということ。片付けの最初にやるべき大切な作業です」と坂根さん。まずは棚にしまった推し活グッズを全部出す。クローゼットに積み上げた子どもの作品を全部出す…という風に、整理においては一旦“外に全部出す”ところからがスタートです。
「ただし、整理に慣れないうちの全出しは危険です。たとえば、『今日はクローゼットの下半分だけやろう』とか、『土曜日の午前中に2時間だけやってみよう』など、片付ける範囲や時間を決めて、少しずつ始めてみるのがオススメです」。
そして、手元に残しておきたい大事なモノと、それ以外の不要なモノを区別します。ここまでが整理の作業。続いて、整理で必要だと判断したモノの居場所を決めるのが“収納”、使ったモノを元の居場所に戻すのが“片付け”です。
でも、思い入れのあるモノほど必要・不要の判断なんてつきません。そこで思い出してほしいのが、「捨てるのは最終手段」という坂根さんの言葉。不要だからといってすぐに処分する必要はないのです。
坂根さんはこんな風にしています

リビングの飾り棚を展示スペースに
「うちには中学・高校・大学生の三姉妹がいて、娘たちが作った作品を飾り棚に置いています。また、クラブ活動でもらった賞状などはわざわざ額縁には入れず、マスキングテープで目立つ所に貼り付けています」
衣装ケースに入る分だけ
思い出を保管
「衣装ケースを用意し、三姉妹が赤ちゃんの頃に着ていたロンパースやお気に入りのおもちゃなどを厳選して保管しています。絶対に捨てられない思い出の品ばかりです」
四つ切り画用紙が入る収納ケースを活用
「四つ切りの画用紙が折らずに入れられる大きさで重宝しています。子どもの絵や賞状はそのまま入れて保管しています」
“捨てる”前にできるコト
①人目に付く場所に飾る
「特に子どもの作品は、リビングや玄関先など人目に付きやすい場所に飾ってあげてくださいね。家族が見て褒めることで、子どもの自己肯定感も上がります」と坂根さん。同様に、推し活グッズや趣味のハンドメイド作品なども、気が済むまで飾ってみましょう。
「ここで大切なのは、飾って満足した後です。自分のモノなら自分で『取っておく』『処分する』などの判断ができますが、子どものモノは子ども自身に判断をゆだねてください」とのこと。整理を通じて幼い頃から取捨選択を学ぶことで、自分にとって本当に大切なモノを選び取れるようになるのです。
②一時的な避難場所を作る
「このケースが洋服または書類などでいっぱいになってから考えよう」という風に、一時的なモノの避難場所を作っておくと気が楽です。ただし一度スペースを決定したら、そこからはみ出さないこと。家とはあくまで人が生活を営む場所であり、使わないモノを置いておく場所ではないのです。
③人に譲る
「誰かの役に立つのなら…」とご近所さんや友人に譲る、フリマサイトやリサイクルショップを使うという方法もあります。そのときに考えてほしいのが、譲られた側の気持ち。傷や汚れ、臭いがないかなどを入念にチェックして、相手が気持ちよく受け取れるように心掛けましょう。
思い入れのあるモノと同じくらい、関わる人の心も大切にして片付けたいですね。