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ライフジャーナル
お口の健康、大丈夫?

 口臭や虫歯、歯周病...口腔トラブルに悩む人は少なくありませんが、大切なのは予防の意識と毎日のケア。
今回は、オーラルケアのリーディングカンパニーであり、約40年間に渡って組合員に支持されている
「CO・OPノンフォームハミガキ」を開発するサンスター株式会社に、最近の傾向と予防方法をお聞きしました。

お口のトラブル歯周病が増加傾向

サンスター株式会社
オーラル事業部 マーケティング部
ローカルブランドグループ 野澤 有住さん

 最近は、歯ブラシなどのケア商品の質が向上し、またエチケットに対する認識が上がったことで健康への意識が高まり、虫歯を放置する人は少なくなっています。とくに虫歯にかかる子どもの数は減っていると言われています。一方で増加傾向にあるのが、「歯周病」に悩む方々です。歯周病は知らないうちに悪化するため、サイレント・ディジーズ(静かな病気)とも呼ばれています。

歯の病気の実態と原因とは?

虫歯

 虫歯は食べ物を栄養に「虫歯菌」が活動して酸を作りだし、その酸によって歯が溶けてしまう病気です。虫歯菌は、細菌(歯磨きが不十分など)、食べ物(甘いものをよく食べるなど)、歯質(歯の質が弱いなど)の3つの要因が悪い条件で重なった時に発生します。つまり、虫歯菌が多い人や歯の質が弱い人、食習慣が乱れている人は虫歯になるリスクが高いと言えます。歯は削れば削るほど、弱く脆くなっていきます。一度治療のために削った歯は、詰め物と歯の境目の部分にすき間ができ、そこにハミガキでは取り除けないプラーク(歯垢)が溜まるため、虫歯再発のリスクが高くなります。

 ちなみに、虫歯菌は生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には存在しません。親が口移しで食べ物をあげたりする際に感染してしまうので、虫歯菌が少ない子どもに育てるには、保育者が自分の虫歯菌を減らしておくことが大切です。

歯周病

 歯周病は歯肉炎と歯周炎の総称で、歯を支えている組織(歯周組織)の病気。歯周病菌によって歯ぐきや歯根膜、歯槽骨といった歯周組織が破壊され、歯が揺れて噛めなくなり、最後には歯が抜け落ちてしまいます。うずきや出血、歯ぐきが腫れることがありますが、その自覚症状が出にくいのが特徴。気づいた時には手遅れだった、ということも少なくありません。

 口の中には300~500種類の細菌が住んでいます。ブラッシングが充分でなかったり、甘いものを過剰に摂取したりするとプラークとなり、歯にへばりつきます。プラークは菌のかたまりで、その中でも特異的な複数種が歯周病を引き起こすことが解明されています。

 歯周病菌は多かれ少なかれ、お口の中に存在します。発症するかどうかは、歯周病菌と歯周病菌から身体を守ろうとする防御機能とのバランスが問題で、全身の状態やお口の環境、生活習慣が大きく関わっています。

口腔トラブルと病気との関係

 最近の研究で、お口のトラブルが全身の健康に深く関係していることが分かっています。歯周病菌に含まれる毒素が悪さをして歯ぐきの炎症を引き起こしたり、歯槽骨を破壊したりします。すると、歯ぐきの血管から血液中に毒素が入り、全身へ行きわたって、さまざまな悪影響を起こしてしまうのです。糖尿病や脳卒中などとの関連が報告されており、また身体の抵抗力が弱くなっている時に口腔内の細菌が誤って気管に入りこむと、肺炎を起こすこともあります。

予防で大事なのはセルフ&プロケア!

虫歯ケア

歯が痛くなったときには、虫歯はかなり進行した状態。ここまでくると、削って詰める治療が必要になります。しかし、自覚症状が出る前の虫歯なら、歯を削る必要がない場合もあります。自覚症状のない虫歯を自分で発見することは難しいので、定期健診で歯科医師や歯科衛生士にチェックしてもらうのが、虫歯から歯を守る一番の方法です。また、虫歯リスク(虫歯になる危険度)が違えば予防法も違います。虫歯になった原因を把握し、自分にあった予防法を実践することが虫歯予防の早道とも言えます。虫歯リスクは歯科医院で簡単に調べることができるので、問い合わせてみましょう。並行して家庭では、歯の再石灰化を促進するフッ素入りのハミガキ剤やデンタルリンスを使用して、悪い条件がそろわないようにコントロールしましょう。

歯周病ケア

歯周病は炎症で歯周組織が破壊されていく病気です。炎症の原因は歯周病菌なので、まずはこの歯周病菌を取り除くことが最も重要。毎日の歯磨きや洗口液で口腔内の菌のレベルを下げることが予防の第一歩です。しかし実は、できてしまった歯石を家庭の歯磨きで除去するのは不可能で、歯科医院にある専門の器具や機械を使って破壊しないといけません。自分で無理に取ろうとすると歯や歯ぐきを痛めてしまうことがあるので、定期的に歯科医院を受診してケアをするようにしましょう。

 ちなみに、歯周病の“始まりのサイン”となるのが「歯肉炎」。歯肉炎はプラークの中の細菌により歯ぐきが炎症を起こし赤くはれた状態をいいます。この段階なら簡単な治療で元の健康な状態に戻せる可能性が高いです。鏡で歯ぐきチェックしてみましょう。


お口の健康Q&A

Q 歯磨きのタイミングは?

A 基本は毎食後です。間食後や寝る前にも磨いたほうがいいでしょう。歯磨きの回数が増えるのは構いませんが、強く磨かないように注意しましょう。

Q 朝起きて一番に歯を磨いたほうがいいの?

A 就寝中に唾液による自浄作用が低下して菌が増えることが起床時の不快感につながるので、朝起きたら歯を磨くことをお勧めします。その後朝食を摂ったら、また歯を磨いてください。

Q 歯磨きにどれくらい時間をかけたらいいの?

A 歯1本1本を意識して3分間、洗口液は10mlを口に含んで20秒間が目安です。口の中の汚れを取り除くことを意識しましょう。

Q 口臭予防におすすめの対策は?

A 口臭は、朝起きて唾液が減っている時や空腹時、緊張時に出やすい「生理的口臭」と、歯周病や舌苔などの病気やトラブルが原因の「病的口臭」に分けられます。お口由来の場合は、朝は口臭を抑えるタイプ、またはホワイトニングタイプのハミガキ粉を使い、夜は歯周病予防のために開発された商品を使うことをお勧めします。マウススプレーは殺菌剤も入っているので、殺菌による口臭予防が期待できます。口臭が病気由来の場合もあるので、歯科医院の健診を受診しましょう。

Q 食べ物が歯に詰まりやすくなり、困っています。

A 大きな原因は加齢。残念ながらできてしまったすき間は元に戻りません。歯磨きと歯間ブラシの併用に加え、歯科医院での定期的なケアが加速を防ぎます。

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