新しい出会いが増える4月。はじめて会う方とのあいさつや自己紹介は、誰もが少し緊張してしまうもの。
スムーズな人間関係を築く上でも、相手に親近感を与える「会話力」は身につけておきたいですね。
今回は、教育コンサルタントで日本現代作法会師範の本田妃世さんに、
第一印象を左右する声量や美しい話し方などについてお聞きしました。
一般的に、第一印象が決まる時間は0.6秒から15秒と言われています。相手に印象を与える要素で一番大きなものが、服装や立ち居振る舞いといった「視覚情報」。それと同じくらい重要なのが、実は会話の内容よりも、話す声の抑揚や大きさ、スピードといった「聴覚情報」とされています。
みなさん、TPOによって服装を変えられますよね。会話もこれと同じで、初対面の場面での「はじめまして」の声のトーンが相手の印象を決定づけます。子どもの送り迎えの時のあいさつ、PTAでの自己スピーチなど、その場面にふさわしい話し方をすることが、その後の円滑なコミュニケーションのカギとなるのです。
最近の傾向として、男性も女性も口が開きにくい人が多いと言われています。これは、人と会って会話するより、携帯電話のメールで済ますことが多くなったことが一因とされます。小さな声は相手に不安を与えます。明瞭に相手に伝えるためには、5メートル先にいる人に話しかけるイメージを持つといいでしょう。そうすれば、自然に適切な大きさの声が出て、さらに大きな声は自信にもつながります。声のトーンが低い人は、強めに話すとワントーン上がりますよ。
これらは、自分では気づきにくいポイントです。一度、家族や友人に自分の話し方をチェックしてもらい、他者からどう見えているか客観的に知っておくことをおすすめします。
誰かと話をしている時、自分は普通に返事をしているだけなのに「怒っているの?」と言われたことはありませんか? 会話は「何を話すか」だけでなく、「どのように伝えるか」も大切です。相手に自分の思いを正しく伝えるためのポイントを整理しておきましょう。
誰に伝えるのかによって言葉づかいが当然変わってきますが、相手を敬うやまう話し方を心掛けるようにしましょう。ただし、関係が深まってからの過度な敬語は相手に窮屈な思いをさせてしまうので、注意が必要です。
最初に全体像を伝えてから詳細に入りましょう。論理的に組み立てて話すことで、主張が伝わりやすくなります。
とくに女性は接続詞が続きがちです。長くなると何が言いたいのか聞き手に伝わらないので気をつけましょう。
「たくさんの人が来る」と言っても、「たくさん」の定義は人によって違います。具体的な数字を挙げることで、相手の理解が深まります。
一本調子では聞き手が眠くなってしまいます。重要なことを話すときには迫力ある大きな声で、またあるときは小さく、と変化をつけると、相手をひきつけることができます。
集中してほしいポイントの手前や強調したいとき、話題を変えるときなどに、間を取って話すと効果的です。また、聞き手に考える時間を与えることも大切。
聞く力も会話には欠かせません。うなずき、あいづち、復唱、要約といった傾聴ができる人は、相手に受け入れやすいと言えます。また、ゆっくり話す人が相手の場合、「ペーシング」と言って、呼吸やリズム、スピード感を合わせてあげると、うまくベクトルがかみ合って、自分が伝えたいことも聞いてもらえます。このスキルは、子どもが相手の場合にも使えます。
知らず知らずのうちに、間違った敬語や言葉の使い方をしていませんか? いまさら聞けない敬語のマナーをチェック!
正しい日本語や美しい言葉は、日本人として使いこなせるようにしておきたいものです。ですが、これは一朝一夕で身につくものではありません。「耳に喜ばしい言葉」は、親から子へと伝えられ、養われるものだと考えています。両親の存在がとても大きいのです。小さいお子さんがおられる家庭は、ぜひ今のうちから教育されるといいと思いますよ。