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ライフジャーナル
今や国民病!花粉症の季節がやってくる!

日本人の4人に一人が花粉症と言われ、最近は重症化したり、子どもが発症するケースも増えています。しかし、花粉症は早めの対策と専門医による適切な治療で、症状を抑えることが可能です。今回は、滋賀医科大学耳鼻咽喉科学講座教授で、日本アレルギー学会認定指導医・専門医の清水猛史先生に、花粉症のメカニズムや注意点についてお聞きしました。

スギ花粉症は日本特有のもの

清水猛史先生
滋賀医科大学耳鼻咽喉科学講座教授
日本アレルギー学会認定指導医・専門医

 花粉症は、スギやヒノキなどの花粉によって引き起こされるアレルギー性の疾患です。実はスギやヒノキの花粉症は日本特有のものです。これは、戦後の植林政策で全国の森林面積の多くにスギとヒノキが植えられたためで、スギの木がない北海道と沖縄県では、花粉症患者はわずかです。

 花粉症の原因となる花粉で一番多いのがスギ花粉です。花粉量が非常に多い、飛散距離が数百キロに及ぶ、飛散期間が長いといった特徴があります。また、スギ花粉症の6~8割の人はヒノキ花粉症も発症するため、スギ花粉が飛び始める2月半ばから、ヒノキ花粉の飛散が終息する5月まで、3カ月近くも花粉症に苦しめられることになります。

花粉症のメカニズムと花粉症になる人・ならない人

 人体には異物を排除しようとする働きがあります。まず異物を排除するためのIgE抗体を作り、その抗体が鼻粘膜にあるマスト細胞に結合します。そこに再び花粉が入ってくると、異物を防御しようと待ち構えている抗体とくっつき、マスト細胞からヒスタミンが分泌され、異物をできるだけ体外に排出しようするために、くしゃみや鼻水、鼻づまりを引き起こすのです。

 日本で初めてスギ花粉症が報告されたのは1963年。花粉症が増加している原因のひとつに、衛生面や栄養状態が改善され蓄膿症などの感染症が減少した結果、免疫担当細胞のバランスがアレルギー炎症にシフトしたことが考えられます。しかし、最大の要因は花粉の量が増えていることです。発症のきっかけは、これまでに曝さらされた花粉の量が関係します。抗体を作り始めてからある程度までは発症しませんが、飛散量が多くなると発症します。「去年までは平気だったのに、今年急になった」という人が多いのは、そのためです。私自身、40代半ばに突然花粉症になりました。

病院は耳鼻科へ早めの投薬に効果あり

 花粉症を治療する場合は、まず耳鼻科へ。最も一般的な治療方法は、症状を抑える抗ヒスタミン薬の内服と鼻噴霧用ステロイド薬の併用による薬物治療です。症状の少ない初期から使用することで、鼻粘膜の過敏性を低下させて花粉飛散期の症状を軽減することができます。薬剤は個々の症状やライフスタイル、病歴にあわせて医師が処方します。眠気の少ない薬も多くなりましたので、医師に希望を伝えましょう。そのほか、体質を変えて根本的に治す免疫療法や手術療法という選択肢があります。いずれも症状にあわせた治療法の選択が必要ですので専門医に相談してください。

今年のスギ花粉飛散量は例年より多い予報

 毎年の花粉飛散の調査データから、スギ花粉飛散総数はおおむね隔年で増減を繰り返す傾向にあります。2014年は少量飛散年で、昨秋の雄花芽の着生状況も考慮に入れると、今年のスギ花粉飛散は例年より多い大量飛散になると考えられます。また、ハウスダストやダニによるアレルギー、花粉症と同時期に日本を襲うPM2.5などの大気汚染や黄砂も症状を悪化させる要因なので、セルフケアを心がけましょう。


大切なのは予防の意識!

 一度花粉症にかかると、自然治癒は難しいと考えられています。花粉飛散に対する制御は難しいので、花粉症を回避するための“対策”を立てることが大事になります。

花粉情報で飛散量をチェック

花粉が特に飛ぶのは、雨上がりで晴れていて風の強い日。雨の日と夜はあまり飛びません。近年の花粉情報は精度が向上しているので、新聞やテレビの情報を参考に、飛散の多い時の外出は控えるようにしましょう。


マスク、メガネを着用

外出する際はマスクを、場合によってメガネやゴーグルを着用しましょう。花粉症用のマスクは、しないより7割くらいの効果があると言われています。


花粉を家に持ち込まない

表面が毛羽立った毛織物などの服は花粉が付きやすいので避けましょう。帰宅時は必ず家の外で服や髪をよく払ってから入室すること。家では上下とも着替えることが大事です。飛散の多い時は窓を閉め、換気も短時間にとどめ、洗濯物の外干しは避けましょう。

絶対に花粉のない部屋を作る

寝室には外出着を持ちこまないなど、家の中に安全地帯を作ることが大事。念入りな掃除はもちろん、空気清浄機の使用も効果的です。

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