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ライフジャーナル
知っていますか?ロコモティブシンドローム

「ロコモティブシンドローム」という言葉を耳にしたことはありますか? 
加齢による運動器能力の低下による症状で、超高齢化社会を迎えた日本において、
誰もがなり得る可能性があります。今回は、ロコモティブシンドロームについて、
またその予防法を、ロコモアドバイスドクターである整形外科医の瀬本喜啓先生にお話を伺いました。

ロコモティブシンドロームって?

瀬本喜啓先生
整形外科医、ロコモアドバイスドクター。財団法人近江愛隣園 今津病院院長小児・側弯センター長。

 ロコモティブシンドロームとは、日本語で「運動器症候群」。ここ数年で使われるようになった新しい概念です。具体的には、筋肉や関節、神経、骨などの運動器が、加齢や長らく続く生活習慣などが原因で衰えたり弱って、移動機能が低下した状態をいいます。

 特に日本人に多い原因は、変形性膝関節症(膝の関節がすり減る)、変形性脊椎症や脊柱管狭きょうさく窄症(背中の骨がすり減る)、ヘルニアです。背中の骨がすり減るというのは、クッションのような役割で体を支えている椎間板が、体をおこしているだけで(加齢によって)つぶれてくる、というものです。お年寄りの膝や腰の痛みのほとんどの原因が右記によるものですが、どうしてこの症状になってしまうかは、それぞれの年齢や積み重ねてきた生活習慣などによります。運動習慣のない生活や、スポーツのやりすぎ、やせ過ぎ・肥満などが要因となることがあります。

60歳以降の方なら、ロコモ予備軍だと思って良いでしょう。

放っておくと寝たきりになってしまうことも

 年齢を重ねると、膝や腰の痛みは出てくるもので仕方がない、と放っておく人が多いですが、何の対処もせずにいると、悪化して要介護や寝たきりになる可能性も。超高齢化となった日本ですが、最後まで自分の足で立ち、健康で笑っていたいと誰もが願っているはずです。そのためにも30代、40代から毎日の生活の中で気を付けられることがあります。

自分でできるロコモ予防法

自分の体をちゃんと見極める

 思っているほど自分は若くないという自覚が大切です。自分の体の変化を見逃さず、無理はしないように。運動を始める場合は様子を見て少しずつ。毎日運動している人も、夜に痛みが出たり、翌朝疲れが残っているなら無理をしている証拠です。日々運動していると、「昨年平気だったのにな」と、自分の体の変化に気付くことができます。

バランス良い食事に勝るものなし

 サプリメントよりバランスの良い食事を心がけましょう。特に、60代以上の方は効率良くタンパク質を摂れる牛肉や豚肉を食べましょう!

ロコモに関する講座など

 滋賀県で定期的に行われている講座や教室はありませんが、各保健所に問い合わせてみてください。

7つのロコチェック

当てはまる症状があれば、ロコモティブシンドロームor 予備軍かも知れません。

□片脚立ちで靴下がはけない

□家の中でつまずいたり片脚立ちで靴下がはけない すべったりする

□階段を上がるのに手すりが必要である

□家のやや重い仕事が困難である


□2kg程度※の買い物をして持ち帰るのが困難である※=1Lの牛乳パック2本程度

□15分くらい続けて歩くことができない

□横断歩道を青信号で渡りきれない

毎日続けよう! ロコトレ

ロコモーショントレーニングは、“治療”ではなく“予防”です。時間もあくまで目安なので、自分のペースで試してみてください。

下肢筋力をつける「スクワット」

肩幅より少し広めに足を広げて立ち、ひざがつま先より前に出ないように、またひざが足の人差し指の方向に向くように注意して、お尻を後ろに引くように体をしずめます。

※深呼吸するペースで5~6回繰り返し。1日3回行いましょう。

支えが必要な人は、机に手をついて。スクワットができない時は、椅子に腰かけ、机に手をついて立ち座りの動作を繰り返します。

ポイント

  • 動作中は行きを止めないようにします。
  • ひざに負担がかかり過ぎないように、ひざは90度以上曲げないようにします。
  • 太ももの前や後ろの筋肉にしっかり力が入っているか、意識しながら行います。
バランス能力をつける「片脚立ち」

転倒しないように、必ずつかまるものがある場所で、床につかない程度に片脚を上げます。

※左右1 分間ずつ、1 日3 回行いましょう。

ポイント

  • 姿勢をまっすぐにして行います
  • 支えが必要な人は、机に両手や片手をついて行います。
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