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ライフジャーナル
花のある暮らしを楽しもう

(株)竹中庭園緑化 宿利原伸一郎さん

クリスマスやお正月など、花を飾る機会が多いこの季節。でも、花の扱い方がよく分からないという方も多いのでは?
そこで今回は、生協の花を取り扱う、株式会社竹中庭園緑化の宿利原伸一郎さんに、花を長持ちさせる方法や、家での飾り方などを教えていただきました。

持ちの良さを重視するなら産地やつぼみをチェックして

 できるだけ長く花を楽しみたいと誰もが思います。店頭で「長持ちする花」を見分ける一番良い方法は、「その時期に咲く花を選ぶ」こと。今は一年中色んな花が並びますが、時期ではない花は、温室で無理に咲かせているため、あまり長持ちしません。その時期の花は、お花屋さんに聞いてみましょう。

 つぼみの状態のものはやはり長持ちです。ただし硬いつぼみは咲かないことが多いので、すでに咲いている花を長持ちさせるためにも取り除きましょう。

 それから、月・水・金曜日の朝に花のセリが行われるので、その曜日の夕方くらいに店頭に並ぶ花は新鮮な花が比較的多いんですよ。ぜひ参考にしてみてください。

切り花の大敵は水から増殖する菌

 買ってきた切り花は、水を吸い上げる力が弱いので、吸い上げやすくしてあげる必要があります。これを「水揚げ」と言い、一般的な方法が、水中で茎を切る「水切り」です。でも実は、水中で切らない場合とそれほど差はありません。それより重要なのは、菌から花を守ること。

 家庭の水道水を花器に入れると、4~5時間で菌が繁殖します。花には水を吸い上げる「道管」という血管のような管があって、そこに菌が詰まると、水揚げがうまくできずに枯れてしまいます。
 生協で企画されている花にはすべて、菌の発生を抑制させる薬液を小袋で付けています。それを水に混ぜると、4~5日は水替えが不要。冬場なら、花が枯れるまで水替えしなくて大丈夫な場合もあります。薬液がない場合は、頻繁に水替えをしていただくのが一番。その時は、茎の切り口を毎回切って、新鮮さを保ちましょう。切り口は、水を吸い上げる面積を大きくするため斜め切りにしてください。

 ハサミなどの道具は、使う前に熱湯をかけたり火であぶったりして消毒すると、菌を抑えられます。昔は水に砂糖や十円玉、重曹、漂白剤などを入れると長持ちするという説がありましたが、実は科学的根拠はありません。水に氷を入れるのも、茎が寒さで弱ってしまうので、おすすめしません。

花を生ける時は頑張り過ぎないで

 花を生けるのは難しい事ではありません。流派などは気にせず、花の形を見て、垂れている花は垂らして、自然な姿のままにするのが一番きれいだと思います。
 花器がなければ空き瓶でも。牛乳パックにハンカチなどの布を巻きつけて使っても良いですね。
 年末年始におすすめの花は、大輪で華やかなバラやラナンキュラス、カーネーション。ガーベラやクリスマスブッシュ、サンキライなどの赤い色を入れると、クリスマスの雰囲気がアップします。個人的には、2週間くらい楽しめるフリージアが好きです。好みの花をみつけて気軽に楽しんでみてください!

花を楽しむために
~知っておくと便利な花にまつわる知識を集めました~

明るい場所じゃないとダメ?

切り花は基本的に成長しないので明るさは関係ありません。根の付いたものや、ユリなど大きな花を咲かせたいならある程度必要です。

寒い場所に飾っても大丈夫?

国産の花は、室温5℃以上あれば問題ありません。風と乾燥に弱いので、エアコンの風が直接当たらない所に置きましょう。

玄関に飾る花のおすすめは?

お客様を迎える玄関は、香りが良く華やかなものを。家の奥にいくほどシンプルにして、一輪差しなどでも良いでしょう。メリハリが大切です。

今の生け方の主流は?

葉を多用するのが主流。葉の中に花を差すようなイメージで、より自然に近い色合いです。ボリュームを出したいなら葉を増やしてみては。

茎を切る以外の水揚げ方法は?

かすみ草などは、茎の先を2~ 3 秒火で焼くことで、水を急激に吸い上げる効果があります。年末の千両は茎を叩いて繊維を出すと効果的。

アレンジメントに使われる吸水性スポンジは再利用できる?

使用済みの吸水性スポンジは穴がたくさん開いていて、新しく刺した茎の断面にスポンジが当たらないことも。基本的に再利用はできません。

花が傷んできたら?

傷んでいる花は、すぐに取り除いてください。花同士が触れる部分から菌がうつってしまいます。茎部分は野菜と同じで土に還せます。

花束は逆さに持つと良い?

花束の花を下に向けて持つと水を吸いやすいという説もありますが、自然に咲いているように、花は上向けに持ってOKです。

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