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ライフジャーナル
正しい予防で風邪に勝つ!

そろそろ冬の気配も感じ始めるこの季節、意識したいのが風邪の予防。
毎年必ず風邪を引くという人も、〝病気知らず〟の人も、やはり普段の生活の中で気を付けることが大切です。
今回は、医療生協こうせい駅前診療所の所長・佐々木隆史先生に、正しい風邪の予防方法、
引いてしまった時の対処について教えていただきました。

あらためて、風邪ってどんな病気?

 風邪は、医学的には風邪症候群と呼ばれ、主にウイルス(時々細菌の場合も)が感染して、鼻やのどなどに炎症が起こる急性の上気道炎のことを言います。
 感染経路は、せきやつばなどと一緒にウイルスが飛んで、鼻や口、目などの粘膜から体中に広がって感染する飛沫感染がほとんどです。だから、手洗い・うがいをしっかりすることが大事なんですね。

インフルエンザと一般的な風邪の違い

 インフルエンザはインフルエンザウイルスによる、風邪症候群のひとつです。一般的な風邪もインフルエンザも「熱が出る、せき、鼻水、くしゃみ、腹痛」など、共通した症状がありますが、インフルエンザは小さい子どもや高齢者が死に至る場合もあり、重症度が違います。ですから、一般的な風邪と分けて考えられています。ただ、初期症状ではその違いが分からないのが普通。インフルエンザの場合、突然熱が出て鼻水が出るのが典型的な初期症状ですが、一般的な風邪である場合もあるので、判断は難しいところです。

 また、インフルエンザにはA型とB型があり、B型は腹痛や下痢など、お腹の症状が出ることもあるので、「胃腸炎かな」と思ってもインフルエンザが原因だということもあります。知らない間にまわりにうつさないためにも、自己判断はせず、早めに病院へ行き、検査して診断してもらうのが良いでしょう。

効果的な予防方法は?

 鼻や口などの粘膜から感染するので、よく言われることですが、やはり手洗い・うがいは基本であり、とても有効な予防です。
 手洗い・うがいのタイミングは、外から帰って来た時はもちろん、食事の前にするのも良いでしょう。要は、体内にウイルスを入れないということが大事です。
 それからマスク。例えば結核菌や麻ましん疹ウイルスなどは空気の流れに乗って広く拡散しますが、風邪の多くのウイルスは、感染力が強いもので1mほど。鼻と口をガードして予防するだけでなく、自分が感染している場合も、エチケットとして必ずマスクはするようにしましょう。特に受験生や高齢者の方などは気を付けてください。

 そして風邪に負けない体力を作りましょう。基礎疾患を持っている方は別ですが、痩せて低栄養の状態にある、いつもいるs部屋が寒いなど悪環境の方で免疫力がないと、風邪をひきやすく、風邪から肺炎に悪化することもあるので注意です。

インフルエンザワクチンは重症化を抑えるためのもの

 インフルエンザは毎年予防接種が実施されています。よく、「予防接種したのに感染した」という方がいますが、予防接種は“感染しない”のではなく、“重症化しにくくする”ためのものです。感染した場合でも重症化しないために、とくに小さい子どもや高齢者の方はワクチンを打って予防することをおすすめします。

この予防方法、効果のほどは…?

 今では医学界の常識となっていますが、いわゆるうがい薬は、風邪の予防にあまり効果がないといわれています。消毒することによって悪い菌を殺しますが、正常な粘膜の組織も傷めるからです。うがいだけでなく、転んでけがをした時なども、傷口を水で流して表面の汚れを落とした後は、消毒しない方が早く治ります。傷口は乾燥せずに湿らせるときれいに治りますよ。

 うがい薬でうがいした人、水道水のみでうがいした人、何もしなかった人を比較した場合、もちろん何もしなかった人の感染率が一番高かったのですが、うがい薬を使った人と水道水のみでうがいした人の感染率はあまり変わりません。

それでも風邪を引いてしまったら

「これをしたら良くなる」という対処方法はないのですが、脱水すると悪化してしまうので、風邪を引いたら小まめに水分を補給して、脱水は避けましょう。
 熱が出て汗をかいたり、嘔吐や下痢があると水分が奪われて脱水症状を起こします。免疫力が低下し、頭もぼーっとしてしまうと、飲み込む力が弱まり、むせて食べカスやたんが肺に入って肺炎になったり、排尿する回数が減って膀ぼうこうえん胱炎や腎じ んうえん盂炎になるなど悪循環に。
 せきがひどくなったら肺炎の可能性もあるので、再度受診してください。また、下痢やおう吐がある場合は、カリウム不足になり、こむら返りが起こりやすくなるので、スポーツドリンクなどでカリウムを補ってください。

熱が出たら冷ますべき?

 熱が出ているのは、免疫力が細菌やウイルスと戦っている証拠。平熱より少し高い方が、免疫力が活性化しやすくなります。だから、変に冷まそうとすると戦う力が弱まってしまう場合があるので、子どもの場合、元気そうで39度までなら解熱剤をあまり使わず、気持ち良いなら冷却シートなどを使って様子をみておくだけで良いと思います。
 ただし、大人の場合はしんどくなるので、38度くらいを目処にしてください。また子どもも大人も40度を超えると脳に障害をきたすことがあるので、下げるようにしましょう。

風邪の時、お風呂に入るのはNG?

 入浴は、結構体力を消耗しますし、体を冷やすとよくないという理由で「風邪の時はお風呂に入らない」という方もいらっしゃいます。でも、夏場などたくさん汗をかいてじめっとしているのに入らないと気持ち悪いですよね。どうしても入りたい場合は、38~39度のぬるめのお湯につかるか、シャワーでさっと体力を落とさない程度に入浴すれば問題ありません。とにかく安静にし、できるだけ水分と睡眠、栄養をとってください。

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