本文へ

ライフジャーナル
「エシカル」って知ってますか?

コープしが専務理事
白石一夫

環境や社会に配慮した消費生活は、今や当たり前の価値観になりました。
そんな中、ここ数年、世界で関心が高まっているキーワードがあります。それは「ethical(エシカル)」。初めて耳にする方も多いこの言葉について、コープしが専務理事白石一夫が解説します。

倫理的に正しいことはカッコイイ

 「ethical(エシカル)」は、80年代末ごろのイギリスで生まれた、ライフスタイル全般を表す言葉と言われています。もともとは、「倫理的な」「道徳的な」という意味の形容詞ですが、もっと踏み込んで「環境や社会などへの配慮が“倫理的に”正しい」という考え方を表すようになりました。

 たとえば、「エシカル・ショッピング」とは、「環境や社会に配慮した、倫理的に正しいことをする企業の商品を買い、そうではないものは買わない」という消費行動です。買い物がより良い社会への投票行動となることを意味します。中でもより積極的にエシカル商品の開発が進められているのが、ファッションです。オーガニックコットンの利用(環境への配慮)、フェアトレード(※)の実践(社会への配慮)など、倫理的に正しく製造されているファッションを、「エシカル・ファッション」と言います。

 生協の長い歴史の中では、消費者の力が商品変化していくことに繋がったり、社会を動かすきっかけになったりしてきました。生協の組合員が、「安全性を確認されていない不要な添加物は使わないで欲しい」という願いから、市場のトレンドも変化しました。また、「安全な食べ物は社会システムの構築が必要である」と署名などを行い、食品安全基本法制定と食品衛生法の改正などに結びつきました。さらに、びわ湖の水質保全のために消費者が洗剤を選択する行動が、滋賀県では琵琶湖富栄養化防止条例の制定にも繋がりました。消費者の購買に対する考え方や消費行動が社会を動かすことに繋がっていったのです。

 「エシカル」は、広い意味を持っています。製造から消費、廃棄にいたるまで、環境や社会の課題に向き合い、消費者のライフスタイルにまで視点を広げた概念なのです。倫理的に正しく行動することで、「かっこいい暮らし方」を実現するというような意味合いも持っているのではないでしょうか。

※フェアトレードとは、発展途上国で作られた製品や作物を、適正価格で継続的に購入することにより、途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す運動。

組合員の消費行動にとって重要なこと

 コープしがでは、「エシカル」ということにも注目し、商品のメッセージ性を十分に考えていかなければならないという認識を持っています。

 自分たちのくらしをよりよくする為に、自分たちで出資・利用・運営を行うというのが協同組合。昨年の国際協同組合年では、「協同組合がよりよい社会を築きます」というメッセージを国際的に発表しました。私たち消費者の組織である生活協同組合もその一員でありますが、消費という個々人がよりよい社会のためにできることも大切と考えています。

 昨年11月に講演していただいたのですが、京都大学でアフリカの農業経営やコーヒー・フェアトレードの研究を行っている辻村英之准教授によると、「フェアトレードのはじまりは、日本の産直運動」。生産者と消費者が対等な目線で取り引きを行い、消費者と1軒の農家の契約から始まった取り組みが、農村に広がった姿を欧米の方々が視察。欧米諸国と発展途上の国々との貿易活動に取り入れたのだそうです。

 一方で、コープしがの商品をみると、社会的な課題に向き合っていたり、環境に配慮した取り組みを行っていたりするものが数多くあります。ところが、その情報をうまく伝えきれていない、そういう商品の性格を広く皆さんにお伝えできていないのが現状です。

生協商品の社会性を伝えていきたい

 たとえば、共同購入や個配の商品案内書では、数多くの商品を紹介しています

 お米では、「滋賀県認証環境こだわり米」です。化学合成農薬・化学肥料の使用を慣行農法の5割以下に削減し、食品の安全性を重視しているだけでなく、琵琶湖に流れ込む農薬にも配慮しています。

 飼料に米を活用する「米育ち」の商品には、「さくらたまご」「鳥取牛」「平牧三元豚」があります。飼料米を育てることで土壌を守り、耕作放棄地にしないための取り組みでもあります。畜産農家にとっても、気候や経済情勢に影響されやすい海外飼料に頼るよりコストが安定し、より近くで作られるものを飼料にできます。そして消費者が米育ち商品を購入することが、滋賀の農地を守ることにもつながります。農業生産者と畜産農家と消費者の三者が相互に循環する関係を作っているのです。

 コープしがの商品が、社会とどのようにつながっているものなのかについて、今年度からは情報発信を強化する予定です。また、そういったことを学ぶ場も組合員活動で取り組んで頂きたいと思います。

 コープしがの世帯加入率は約28%。ここ滋賀県は全国でも、環境や社会活動への関心が高い県民性を持つ土地柄です。「エシカル」という視点で、ライフスタイルを考えれば、食べることや買うことを楽しみながら、社会の役にも立てることを丁寧にお伝えしていきたいと思います。

環境や社会に配慮した商品事例

滋賀県認証環境こだわり農産物のマーク、コープしがのマーク

県内5農協で栽培された産直米。化学合成農薬・化学肥料の使用を慣行農法の5 割以下に削減。
※登録で利用の場合1kg につき1 円を、滋賀県の環境の取り組み「マザーレイク滋賀応援基金」に寄付。

【対象アイテム】

コープしがこしひかり、コープしがきぬひかり、コープしが日本晴

こめ育ち

耕作放棄地や休耕田を利用した飼料米農家と畜産農家と消費者(生協)が協同

【対象アイテム】

こめ育ちさくらたまご、こめ育ち鳥取牛、平牧三元、こめ育ち豚

エコマーク

生産~廃棄までのライフサイクル全体を通して環境保全に役立つと認められた商品。サラダ油…分別できる紙パックタイプ水切りゴミ袋…再生原料( ペットボトル)を約65%使用。細かいゴミもしっかりキャッチし、排水による環境汚染を防ぎます。

【対象アイテム】

CO・OPサラダ油、CO・OP再生原料使用、水切りゴミ袋、三角コーナー用

バードフレンドリー®のマーク

伝統的な木陰栽培で有機栽培されたコーヒーに認証を与え、環境と動植物保護に配慮したコーヒーの栽培を推進

【対象アイテム】

有機珈琲バードフレンドリー®ブレンド

ページトップへ