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ライフジャーナル
食事のバランスを整えよう

青木妙子さん
一般財団法人滋賀保健研究センター 健康管理部 保健師。人間ドックなどで保健指導に携わる。

仕事と休息。心と体。食事の栄養-。日々の暮らしの中で、バランスの良い生活を心がけていますか?
今回のテーマは、食事のバランス。食事時間や栄養バランスなどについて、現実生活に合ったお話を、保健師の青木妙子さんに伺いました。

自分に合った食事時間を崩さないで

 人間は生まれつき、それぞれの体内時計を持っています。食事時間を平均すれば、朝食-7~8時、昼食-12時、夕食-6~7時頃が理想ということになります。しかし、なかなかそうは行かないのが現実。

 仕事をしている人なら、退社後に買い物をして夕食を作り、「さあ食べよう!」と時計を見ると8時、9時になっている…なんてことが多い人もいるでしょう。その場合も、その人その人の体内時計にあった食事時間のサイクルを崩さないことが大切です。

夕食は、少なめが理想です

 食事量は、朝は欠かさず、昼は朝より多めに、夜は少なめが理想です。食事を欠かすと、体が飢餓状態と勘違いして栄養を蓄えるように働き、脂肪が付いて太りやすくなります。

 「朝は忙しくてパンとコーヒーだけ」という人は、できればそこに野菜を1品プラスしましょう。前日の夕食準備に野菜を多めに切っておけば、そのまま朝に使えます。牛乳をかけたシリアルなら、ヨーグルトやバナナをプラスするだけで食事バランスが整います。

 もし昼食で食事量を控えると、夕方にはお腹が減ります。それを補おうと間食すると、かえって太る原因になるので、昼食はしっかり食べましょう。

 夜間は消費エネルギーも少ないので夕食は軽めに。物足りないと感じたら、副菜の品数を1~2品増やしましょう。夕食後に何か食べたくなったら、みかんやりんごなどの果物にしておきましょう。

 全身の細胞内には「BMAL1(ビーマルワン)」と呼ばれるたんぱく質があり、脂肪を溜めこむ働きがあります。これが夜の10時から深夜2時の間に細胞内で日中の20倍近くに増えます。つまり、太りやすくなる時間帯なので注意が必要です。

野菜を先に食べると脂肪や糖質の吸収を抑える効果があります

 夕食は9時までに食べ終えたいものです。夜遅くに食べると、翌朝にまだお腹が空いていなくてつい朝食を抜く、といった悪循環になるからです。

 夕食が10時や11時になる場合には、ごく軽めにしましょう。例えば、少なめのご飯とみそ汁、ハムエッグまたは納豆などのメニューです。本来食べるはずだったメニューは、翌日にまわしましょう。量を減らすことに抵抗がある場合は、食べる順番を変えるだけでも効果的です。副菜などの野菜を先に食べるのです。食物繊維が先に入ると血糖値の上昇が緩やかになり、脂肪分の吸収も抑えられます。

なるべく野菜を摂る工夫を

 野菜には緑黄色野菜(かぼちゃ、にんじん、トマト、ほうれん草、ブロッコリーなど)と淡色野菜(キャベツ、レタス、きゅうり、大根、白菜など)がありますが、1日に緑黄色野菜120g、淡色野菜230gの合わせて350gの摂取が必要です。小鉢ひと皿が70gとすると、1日5皿分になります。でも、1日5皿分の野菜を摂るのはなかなか大変ですね。そこで次のような工夫をしてみましょう。

 鍋料理は野菜をたくさん摂れておすすめですが、シメのおじややうどんはカロリー過多にならぬよう注意しましょう。

食事がもたらす精神面への影響

 ある報告によると、独りで食事をする子どもは、誰かと食事をする子どもよりもイライラすることが多いそうです。1日1回でも良いので、誰かが一緒に食べてあげて下さい。子どもが大きくなってどうしても食事時間がずれるなら、子どもが食事している間、前に座っていてあげるだけでもいいのです。何も話さなくても、誰かがいることで心が落ち着きます。

 これは親子だけでなく、夫婦間でも同じこと。夫婦一緒に座っていると、自然に子どもの話や「今度の休みはどこへ行く?」なんて話になるはずです。食事の最大の目的は栄養補給ですが、“コミュニケーション力”も大切にしたいですね。


夫と、小学1年の男の子との3人家族の青木さん。
主婦としての切り盛り術は?

 「退勤後、6時ごろには学童保育へ迎えに行きます。帰宅してすぐに子どもを風呂へ入れ、その間にご飯を炊きます。夕食は8時までには作って、8時30分には終わらせるようにし、遅くても9時半までには寝かすようにしています。子どもが寝たら、洗濯物を畳んだり掃除をしたりなど、家事の時間です。

 食事は1週間分のメニューを考えてメモしておき、日曜日に材料をまとめ買いします。肉は冷凍で保存。魚の日は、仕事帰りに目当ての魚だけを買います。副菜は作り置きを出し、メインのおかずと翌日の副菜を作ります。煮物は多めに作って、翌々日まで使うこともあります。

 また、調理時間の短縮にもなるので、圧力鍋を愛用しています。夫の食事が10時ぐらいになる時は、軽めのメニューにします。出す予定だったメイン料理は、翌日にまわします。」

栄養バランスを整える、「3つのお皿」

 写真のような「3つのお皿」をそろえると、栄養バランスが整います。丼物の場合は、主食と主菜が一つになっているので、ほうれん草のおひたしやひじきの炊いたものなど、副菜を添えればOKです。漬物は、野菜とは別物と考えて。さらに汁物が付けられれば良いですが、1日1杯を目安に食べましょう。

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