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マルダイ粉せっけんびわ湖

マルダイ粉せっけんびわ湖マルダイ粉せっけんびわ湖

びわ湖と人の命を守る 
滋賀で生まれた粉せっけん

マルダイ粉せっけんびわ湖(3kg袋入り)

滋賀県内で回収した使用済みの食用油を原料にした粉せっけん。合成界面活性剤、蛍光増白剤、香料など一切不使用。水溶けもよく、ふっくらと仕上がります。

今から46年前、びわ湖に赤潮あかしお(※)が大発生しました。微生物の増殖で酸素不足に陥ったびわ湖では、魚や藻の死滅により、水道水に異臭味が出ました。

その原因の一つが、各家庭から排水された有リンの合成洗剤です。洗浄力を高めるリンが河川を通ってびわ湖へ流れ、植物性プランクトンの栄養となりました。結果的に、びわ湖の生態系が崩れてしまったのです。

「当時、子育て中のお母さんたちから、なぜか合成洗剤を使うと手荒れがひどくなったり、子どものお尻がかぶれたりすると声が届いていました」と振り返るのは、NPO法人碧いびわ湖 監事の藤井絢子あやこさん。コープしがの前身の一つである湖南生協の設立に携わり、その後に続く〝せっけん運動〟を牽引した人物です。

※ 水中に植物性プランクトンなど微細な生物が異常繁殖し、水面が赤褐色に染まってしまう現象

県をも動かしたせっけん運動

1976年、リンを含む合成洗剤の危険性に早くから気付いていた藤井さんたち湖南生協のもとに、初代マルダイ石鹸本舗社長から情報が届きます。当時、天ぷらなどに使用した廃食油を原料に、人の体にも水環境にも負荷をかけない粉せっけんづくりに挑戦し始めた会社です。理事会で議論し、翌年に湖南生協の総代会で粉せっけんの利用を推進する決議を宣言すると、それに呼応するかのようにびわ湖で赤潮が発生。滋賀県全域で合成洗剤と決別するせっけん運動が巻き起こりました。「私たちは水が汚れたことで被害者になるけれど、毎日汚れた水を流して加害者にもなっている。被害者にも、加害者にも、私たちはなってはいけない。そのシンボルとしてせっけん運動がありました」。

さらに78年にはみんなの力でマルダイ石鹸本舗の工場を完成させます。ついに滋賀県はせっけん運動の盛り上がりを背景に、全国に先駆けてリンや窒素の排出を規制する「琵琶湖の富栄養化防止条例」を制定。後にも先にも県民の切なる願いが県をも動かした記念碑的な出来事でした。「一時は滋賀県全体で粉せっけんの使用率が70%を超えたこともありました。私たちも原料の廃食油が足りなくて他県に買い付けに行ったくらい。でも、白さや香りを謳った合成洗剤のTVコマーシャルが流れると、状況は一変しました。私たちはびわ湖を汚さない、加害者にはならないと誓ったはずなのに、もうあっという間に崩れていく……」。

その後、マルダイ粉せっけんの需要は減少しましたが、それでも45年間ずっと愛用し続けている組合員たちがいます。それはびわ湖の水と健康を守りたいという思いの強さだけでなく、そもそもマルダイ粉せっけんが優れた製品だからです。

今なお愛され続ける理由がある

「廃食油から作った粉せっけんはとても水溶けがいいんです。水温が5度でも溶けます。さらに油脂に含まれるグリセリンまで丸ごと高温で炊き込むから肌にいい。グリセリンは化粧品などに使われる保湿成分です」。

そして何より素晴らしいのは、捨てればごみとなる廃食油が価値あるものに変わるということ。現在は販売元の碧いびわ湖だけでなく、滋賀県内の各自治体でも廃食油を回収する仕組みが整備されています。ただし、すべての廃食油が粉せっけんになるのではなく、その大半はCO2を増やさないバイオディーゼル燃料として活用されています。「わが家では洗濯からトイレ、お風呂、台所掃除まで粉せっけん。茶渋の付いた器も水を張った鍋に粉せっけんを入れて炊くだけでピカピカになります。油まみれの作業着だってきれいさっぱり。せっけんは万能選手です」と藤井さん。まずは、固めて捨てている家庭の廃食油を回収に出すなど、もう一度暮らしの中を見直して、できることからびわ湖への恩返しを始めてみてはいかがでしょうか。


30年前のパッケージ

コープしがのPB(プライベートブランド)だった30年前のパッケージ

細かい粒子

細かい粒子が特徴です

大釜

この大釜で手間ひまを惜しまず作ることで、品質のよい粉せっけんができるのです。大釜の年季の入った姿から、ものを大切にする精神がうかがえます



30周年に寄せたメッセージ30周年に寄せたメッセージ
藤井さん藤井絢子さん
NPO法人碧いびわ湖 監事

買い物にこだわりを

現在びわ湖でも大きな問題は気候危機ですが、ほかにも湖岸開発や外来魚の増加などさまざまな問題が入り組んでいます。確かに今は下水道処理技術も向上しましたが、朝から晩まで大量に排出される化学物質を完全に管理できません。これから生まれる未来世代に向けて、私たちが何を手渡せるかを考える時にきています。

その一つのきっかけが「買い物で世界を変える」ということです。この商品の原料は何か、その原料のために児童労働や自然破壊がされていないか、廃棄した後どうなるのか……。すべてをフェアトレードやオーガニックにするのは難しいですが、何か一つでもこだわりを持って買えるものを見つけてください。

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マルダイ石鹸本舗を訪ねました

イラスト画/中井忠男さん「せっけん作りを今日まで支えているのは愛する妻と趣味の絵画の存在です」

マルダイ粉せっけん「びわ湖」は、せっけんの製造方法の中でも手間のかかる高温炊き込み法で作られ、直径約2mの大釜で、精製した廃食油に苛性ソーダを加え、8時間かけて炊き上げます。釜から上げたら炭酸塩を加えて粉砕・乾燥し、袋に詰めて完成。この作業を奥様と2人でされています。代表の中井忠男さんが「しんどいけど、どこよりも優れたせっけんやと自信を持って作っている」というこのせっけんの品質のよさを実感し、ほれ込むお客さんは全国各地に。「『この商品を使ったら、夫が〝こんなにきれいになって、また汚れるのにもったいない〟と言いました。ひどい汚れも落ちるので、洗濯が楽しい仕事になりました。』と聞いた時は、本当に嬉しかった。ずっと使い続けてくださっている方のために、喜んでくれる人がいる間は作り続ける」と中井さんは仰います。



組合員のマイレシピや活用法組合員のマイレシピや活用法
ヘビーユーザーさんの使いこなし術

長浜市・山田さん長浜市・山田さん
長浜市・山田さん
北部生協からの組合員。「30年前の組合員活動で出会った人や体験は、私の財産です」。

「せっけん運動」を機に、今日までずっと使い続けています。 私が住む地域は硬水なので、冬はぬるま湯で溶かしてから使用していますが、軟水地域に住む娘は、そのまま洗濯機に投入し、泡立ちもいいと言います。また、年末の大掃除(窓・網戸・換気扇)にも使用していますよ。通常洗濯だけの使用なら、毎月3kg入り1袋の注文でちょうど足りています。

気に入っている点は、強い匂いが苦手なので、匂いがしないこと。2つ目は汚れ落ちがいいこと。汚れのひどいものも、浸け置き洗いできれいになりますよ。娘は「子どもの上靴の汚れがよく落ちる」と重宝しています。3つ目は安心なこと。すべて分解されるのでびわ湖にも人間にも負荷を与えません。4つ目は低価格なこと。他社と比べてもとても安く助かっています。

長浜市・山田さん

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