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いい睡眠、とれていますか?

[今回睡眠について教えていただいたのは…]
滋賀医科大学 睡眠行動医学講座 特任教授
睡眠センター センター長
医学博士 角谷 寛先生

ここ数年、よく耳にする「いい睡眠」や「快眠」という言葉。でも、自分の睡眠が「いい」のかそうでないのか、よく分からない人の方が多いのではないでしょうか。

「そもそも〝いい睡眠〟のはっきりした定義があるわけではないんです。本当に睡眠の状態を知りたい場合は、睡眠中の脳波を見ないと分かりません」。そう話すのは、滋賀医科大学睡眠行動医学講座特任教授で、同大学医学部附属病院の睡眠センター・センター長でもある角谷寛先生。朝起きられない、いびき、睡眠時無呼吸症候群、熟睡感が取れないなど睡眠に関するあらゆる症状を診療する、睡眠のエキスパートです。

睡眠の質が悪いと体に起きること

「睡眠は、体はもちろん心と脳を休める時間。だから熟睡できていないとメンタル面に影響が出やすいですね。生産的・創造的な思考がなかなかできず、生活の質が低下し、生活習慣病にも繋がりやすい。認知症など脳への影響も懸念されます。寝つきが悪かったり、何度も起きてしまったり、日中眠くて生活に支障が出ると感じるなら、不眠症の可能性も。でも、間違って認識されている方が多いですが、〝熟眠感がない〟=不眠症というわけでもないんです。下にある、不眠症の自己評価ができる表で、一度チェックしてみてください」。

ところで、お昼休みの仮眠は、その後の仕事効率が高まると言われています。この場合、長く寝てしまうとボーッとしてしまうので、15分くらいまでと時間を決めてお昼寝してみてください。カフェインが効き出すのは摂取してから大体15分後からなので、コーヒーを飲んで昼寝すると、15分後くらいにスッキリ目覚められて、仕事や勉強がはかどるようです。

睡眠の質はメンタルに左右される

「眠れない」と医療機関に受診しに来る方は、メンタル(精神面)に問題を抱えている方が非常に多いです。ヒアリングをしていくと、不眠からメンタルを壊される方より、メンタルの不調から不眠になっている人がとても多いんです。例えばその時に抱えている不安を解消すると不眠も改善される場合が多々あるので、不安や悩みの原因解決に努めるといいかも知れません。

睡眠は感覚によるところが多い分野です。カモミールのハーブティーで快眠に誘われる方もいらっしゃいます。まずは環境を整えるところから始めてみましょう。

教えて! 角谷先生

『スパイラル』の睡眠に関する事前アンケートには、たくさんの悩みや質問をいただきました。多かった内容から先生に答えていただきました。

年齢と共に睡眠時間が短くなってしまって困っています
人間は、深い眠りの際に成長ホルモンが分泌されます。生物として、年齢によって必要な量が分泌されるわけです。ということは、年齢を重ねるほど自然と睡眠時間は短くて済むということ。『早い時間に目が覚めてしまう』ことより、年齢相当の長さかどうかを意識してみてください。逆に、「寝る子は育つ」は、間違いではない、ということですね。
出産後、睡眠が不規則になった
生まれたばかりの赤ちゃんは、生後半年くらいは短く不規則な間隔で寝たり起きたりしますが、離乳食期が始まる頃からリズムが整ってきます。要するに、赤ちゃんの睡眠が不規則な時期=授乳期に合わせて、お母さんも不規則な睡眠に耐えられる体になっているのです。睡眠不足は辛いでしょうが、この時期は『すぐに起き〝てしまう〟』ではなく、『すぐに起き〝られるようになっている〟』とポジティブに受け止めると、少し気持ちが楽かもしれません。
眠る際にいい環境は?
まずは寝る空間の明るい光をさえぎりましょう。でも、真っ暗だと夜中に起きた際、転ぶ危険もあるので、豆電球程度の灯りは差しつかえありません。スマートフォンやパソコンは、画面の光が強く、目に入ると脳が覚醒してしまうので、就寝30分前からは絶対にやめておいた方がいいです。夕方以降は画面の明るさを暗く設定しておくのもおすすめです。また、カフェインは4?5時間効いてしまうので、夕方以降は摂らないようにしましょう。
枕と布団の選び方
枕の素材の前に、ご自身の背中のカーブが保たれることを第一に、枕と布団を探してみてください。店頭で枕を探す際は、高さだけを見るのではなく、いつも寝ているのと同じような沈み込みの敷布団(マットレス)のところで試すのがベスト。ちなみに私は、午後からはカフェインは摂らず、低反発素材の枕と、横向き寝用枕を併用しています。
自分に最適な睡眠時間を知りたい
まず10日間ほどたっぷり睡眠をとります。すると自然に寝起きするようになり、寝不足が解消され、目覚し時計などなくても自然に寝起きするようになります。さらに一週間続けたら、眠った睡眠時間の平均値を出します。それがその人の最適な睡眠時間です。
口呼吸をやめて鼻呼吸したい
口呼吸は、鼻づまりや無呼吸症候群などが原因であることも。クセになっているだけなら、口にテープ(肌が荒れない医療用のもの)を貼って寝るなど対策してみてください。重症の無呼吸症候群の方は、心筋梗塞などにもなりやすくなりますので、いびきが大きく心配な方は医療機関にご相談ください。

自覚がない人も多いから…先ずは不眠症Check!

何となく体調がスッキリしないという方、それは不眠症のせいかも知れません。過去1ヶ月間に、少なくとも週3回以上経験したものを選んでください。

1寝つき(布団に入ってから眠るまで)にかかる時間は? 0いつも寝つきはよい
1いつもより少し時間がかかった
2いつもよりかなり時間がかかった
3いつもより非常に時間がかかったか、まったく眠れなかった
2夜間、眠っている途中に目が醒めることは? 0問題になるほどではなかった
1少し困ることがあった
2かなり困っている
3深刻な状態か、まったく眠れなかった
3希望する起床時刻より早く目覚め、それ以上眠れなかったことは? 0そのようなことはなかった
1少し早かった
2かなり早かった
3非常に早かったか、まったく眠れなかった
4総睡眠時間は? 0十分である
1少し足りない
2かなり足りない
3まったく足りないか、まったく眠れなかった
5全体的な睡眠の質は? 0満足している
1少し不満
2かなり不満
3非常に不満か、まったく眠れなかった
6日中の気分は? 0いつも通り
1少し滅入った
2かなり滅入った
3非常に滅入った
7日中の活動(身体的および精神的)は? 0いつも通り
1少し低下
2かなり低下
3非常に低下
8日中の活動(身体的および精神的)は? 0まったくない
1少しある
2かなりある
3激しい

アテネ不眠尺度(AIS) 不眠症の自己評価

合計 [0~5点] 不眠症の心配はありません。
[6~9点] 不眠症の疑いがあります。
[10点以上] 医師に相談することをおすすめします。
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