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ふくしのお知らせ

介護事業だより 第10号-1

【2019.10.21 更新】
介護事業だより 10号-1 

その人らしい最期を迎えることができる地域づくり

ヘルパーステーションぽこ野洲 ヘルパー 津村俊二さん

 

2039年には、年間の死者が167万人に達する見込みです。戦争など特殊な事情を除き、短期間にこれほど死亡者が増えるのは世界的にも珍しい現象だそうです。高齢化社会の次に訪れる多死社会で、あなたは「人生の最期をどこで、どう迎えるか」を考えたことがありますか。

看取り難民

津村俊二さん(60歳)は、6年前に乳がんで奥さんを亡くしました。亡くなる4カ月前には脳に転移して会話が成立しなくなりました。乳がん専門の病院から「自宅に帰るか、緩和ケアを受けるか」の選択を迫られました。しかし、「少しでも治る見込みがあるのなら…」と総合病院への転院を選びました。「本当は本人も家で息を引き取りたかったかもわからない…」津村さんは今、本人の意思を確認できなかったことで、自問を繰り返しています。

現在、多くの人が在宅死を望んでいますが、75%の人が病院で死を迎えています。しかし、国は社会保障費の増大を抑えようとして病床数を現状以下に抑制するため、死に場所のない「看取り難民」が、2030年には47万人に達するとされています。(厚生労働省の試算)

 昔は近所の「かかりつけ医」が看取りまでしてくれました。しかし、今は大病院の世話になりますので、「かかりつけ医」がいる人はほとんどいません。そのため、容態が悪化したとき、家族はパニックとなって救急車を呼びます。しかしそれは、病院から受け入れを拒否されたり、そのまま死ぬことを許されない延命治療が行われる可能性を意味します。「どう死にたいか」をあらかじめ決め、家族とも十分に話し合っておかなければ、在宅死がかなわないばかりか、死に場所さえ失ってしまう場合もあるのです。

在宅死の条件

在宅死には看取りをしてくれる在宅医が必要です。しかし在宅医はいつでも来られるわけではありませんので、24時間対応の訪問看護師のサービスが必要です。

在宅での看取りは、在宅療養支援診療所において実施可能です。現在野洲市では3か所登録されていますが、まだまだ絶対数が足りていません。

「人は一人では生きていけない。最期も一人ではない」と、津村さんは思います。必ず誰かと関わり、お世話になったり協力し合ったり、そういったコミュニティーの中で生きて、そして死んでいく。地域で、赤ちゃんが生まれて日々成長していくことも、高齢者がだんだん歩けなくなって老いていくこともごく自然なこと。家族や近隣の方に見守られて旅立っていけるように、地域で支え合わないといけない。

高齢者も子どもも障がい者も

「富山型デイサービス」は、年齢や障がいの有無にかかわらず、誰もが一緒に身近な地域でケアを受けられる場所です。

小規模で家庭的な雰囲気の中、利用者が自然に過ごせることや、個々人に合わせたきめ細かい介護が受けられること、利用者を限定しないため、お年寄りが小さな子どもを見守ったり、障害のある方がスタッフのお手伝いをすることがあるなど、当たり前の生活がそこにはあります。徘徊を繰り返していた高齢者が、毎日来る赤ちゃんを見て徐々に落ち着き、自然な会話ができるようになったケースあります。

「その人らしい最期を迎えることができる地域づくりは、みんなに優しい地域づくり」津村さんは、「富山型デイ」のモデルケースを、野洲でつくりたいと考えています。

「あなたは人生の最期をどこで、どう迎えたいですか?」…決して答えてはもらえない奥さんへの問いかけを、今は地域住民への問いかけに変えて、毎日スクールガードを行ったり、ぽこ野洲では、ヘルパーとして入浴介助を行ったりして、地域を知り結びつきを強めるための取り組みを行っています。

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